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もしチェルシーで活躍して、選挙で当選していたら?

 だからこそ、その影響力も考えると、こんなことを夢想してしまう。

 もし10年前の選挙でシェフチェンコが当選していれば――国民的人気を背景に、彼は祖国の危機にどんな政治手腕を発揮しただろうか?

 ただ、今のウクライナ国内はサッカーを初め、スポーツどころではない。侵攻開始とともに国内リーグ戦やスポーツ遊興イベントは次々に中止へ追い込まれた。従軍兵士にはスポーツ選手も多い。3月2日には、国内プロチームに所属していたサッカー選手のビタリー・サピロ(21歳)とドゥミトゥロ・マルティネンコ(25歳)がそれぞれ戦闘と爆撃により死亡したことが発表された。今後も犠牲者は増えると見られ、ロシア侵攻が与える影響は計り知れない。

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ウクライナのゼレンスキー大統領

 侵攻の始まった24日、シェフチェンコの後輩にあたるウクライナ代表FWルスラン・マリノフスキ(アタランタ)が、UEFAヨーロッパリーグのオリンピアコス(ギリシャ)戦で得点を上げた後、「NO WAR IN UKRAINE」と書かれたTシャツで反戦メッセージを訴えた。今後もサッカー界から反戦アピールは続くだろう。

 現在、シェフチェンコはロンドンにいるが、母国への思いは強い。

 04年、ウクライナ国民にとって最高位の栄誉とされる「国家英雄勲章」を受章した彼は国民的英雄だ。今はサッカー界に身を置くが、母国の危機に彼はどのようなアクションを起こすだろうか?

「ウクライナの矢」の動きから今後も目が離せない。