――特にどんなところにそれを感じますか?
山下「『初めて兄と深く知り合えたような感じがいたしました』という表現などは唸りますよね。これは清子さんが中学3年生でイギリスに旅行された時、ちょうどオックスフォード大学に留学されていた今上陛下とお話しする機会があったということについてのご発言です。というのも今上陛下と清子さんは9歳差で、小さい頃に一緒に遊ぶ機会が少なく距離感を感じておられたんでしょうね。そのことをオブラートに包んで『遊んでもらいました』とか『かわいがってもらいました』と言うこともできたと思いますが、清子さんは正直にお話しされています。言葉の端々から今上陛下への尊敬も伝わってきて、とてもいい関係性なのだろうなと感じました」
「20歳とは思えない風格がありますよね」
――結婚について「いついつまでと申し上げてしまいますと、かつて記者会見で30歳までにと話された皇太子殿下のようになるので」とユーモアを交えたり、女性の社会進出のような社会問題について発言されているのも印象的です。
山下「『単に仕事の場が開かれるということだけではなく、その場において女性にとって、仕事がしやすいという環境が作られることによって初めて、女性の社会進出の意義というものも生きてくるのではないか』ですよね。女性の働く場所が増えていくことを喜ぶだけではなく、その中身の充実を期待されているわけです。頭脳明晰な方だというのはお小さいころから有名でしたが、20歳とは思えない風格がありますよね」
――記者会見ではテーブルの上に紙が1枚置いてあるのですが、質問事項や回答について原稿のようなものがあるのですか?
山下「事前に提出された質問についての回答をご自身でお考えになって、念のためにメモとして用意されていたのでしょう。ただ実際にはご覧にならなかったと思います。“関連質問”という事前提出以外の質問を受けることもありますし、お話の流れの中でちょっとした質問が出ることもありますので、対応力が重要なんです。プレッシャーは相当あると思いますよ」
――回答内容は清子さんがおひとりで考えられていたのですか?
山下「清子さんの場合は恐らくご両親である当時の天皇皇后両陛下には相談されたのではないかと思いますが、記者会見の回答内容を決めるのに、特にルールや手続きのようなものはありません。上皇陛下もいつもご自分で考えておられました。宮内庁としてはお立場によって、またご相談があった場合などに日時や場所といった事実関係に間違いがないかどうかを確認させていただく程度で、内容にまで踏み込むことはまずありません」