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――秋篠宮さまはメモを用意されないのですね。

秋篠宮さま ©️JMPA

山下「いつもそうですね。ざっくばらんな普段どおりの姿勢で臨んでおられます。私は宮内庁で側近部局を経験していないのですが、仕事で宮邸の事務室に行くと、秋篠宮殿下にお目にかかることがなぜかよくありました。私の姿を見かけると殿下はいつもニコニコしながら『山下さん、今日はどうされたんですか』とフランクに声をかけてくださるんです」

――名前を覚えてくださっているのですね。

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山下「そうなんです。宮内庁を辞めた日も、秋篠宮家の職員に挨拶するために宮邸に伺ったんですが、そのときも殿下とたまたまお会いして、いつもどおり『山下さん、今日はどうされたんですか』と声をかけていただきました。私が『今日付けで退官することになりましたので事務室にご挨拶に伺いました』とお答えしたら、『辞めて音楽の道に進むのですか?』と。当然、殿下は冗談で仰ったのでしょうが、私が中高大とずっとバンド活動をしていたことをどこかでお聞きになってご存知だったんでしょうね。年に一度会うかどうかの職員の名前や趣味まで覚えてくださっていて、有り難いという気持ちもありますが、恐縮してしまいます。今上陛下のお気遣いに接した時にも同じように感じました」

天皇陛下が「お疲れさまでした。ちょっと呑みますか」

――もしエピソードがありましたら教えてください。

皇太子時代の今上陛下と、黒田清子さん ©共同通信社

山下「陛下がまだご結婚される前の平成3年のことですが、モロッコ、イギリスと訪問される時に、報道担当のスタッフとして同行させていただきました。2週間の日程を終えて夜遅く帰国し、東宮仮御所で解散となりました。私は本庁勤務ですから、東宮職の職員に挨拶をしてから帰ろうと思い、事務室に顔を出したら、そこにたまたま陛下が入ってこられました。陛下から『山下さん、お疲れさまでした。ちょっと呑みますか』と声をかけていただき、事務室でウイスキーだったと思いますが、簡単な乾きものをつまみに2人で呑みました。私以外の同行者は東宮職の職員ですから翌日以降も会うわけですが、私は当分お会いすることはありませんので、気を遣っていただいたのだと思います。2週間の日程で陛下は相当お疲れだったと思いますが、私のような職員にまでお気遣いいただき、有り難いという気持ちもありますがやはり恐縮してしまいましたね」

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