今、韓国のゾンビがアツい。今年1月にNetflixで配信された、ウェブトゥーン漫画を実写化したゾンビドラマ『今、私たちの学校は…』が特大ヒットを記録。世界的なブームを巻き起こした『イカゲーム』に迫る勢いで視聴されている。
韓国で作られるゾンビドラマや映画は、今や“Kゾンビ”なる言葉が生まれるほどに注目を集めているが、一体何がここまで人を惹きつけるのだろうか。
Kゾンビ作品には、強烈な面白さを生み出すいくつかの特徴がある。今回、これまでに作り出されてきたKゾンビ作品に触れつつ、その3つの魅力を紹介していきたい。
「誰にも死んでほしくない!」と思わせるキャラ描写
Kゾンビの魅力、その1つ目が丁寧な人物描写である。韓国からは様々なタイプのゾンビモノが放たれているが、いずれの作品もキャラが非常に魅力的だ。明確にクズとして描かれる奴は別として、基本的に「誰にも死んでほしくない!」と強く思わせてくれる。だから、ゾンビの襲撃シーンでは思わず拳に力が入ってしまうし、画面に釘付けになる。
その最たる例が2016年に公開されたKゾンビ映画の金字塔『新感染 ファイナル・エクスプレス』だろう。コン・ユ演じる主人公は、最初こそ子供を顧みないダメな父親だったが、サバイバルを通じて立派な父親へと成長していく。
ラストの明らかにやりすぎな泣かせパート(画面が白すぎて、Blu-ray収録のキャストたちによるオーディオコメンタリーでは化粧品のCMみたいと言われていた)も、普通ならそこで冷めそうなものだ。しかし、それまでの丁寧なキャラ立てのおかげでガッツリ心が引き込まれているので、全くテンションが落ちずにボロ泣きしてしまう。
また、脇を固めるキャラも魅力的だ。中でも、マ・ドンソク演じるサンファは最高。妊娠中の妻と共にゾンビだらけの電車に乗り込んでいた彼は、正に漢気の化身。なぜか良く分からないけど超強く、ゾンビをブン殴って吹っ飛ばし、強烈な前蹴りで道を切り開く。他の人と段違いの戦闘力でゾンビを次々となぎ倒す姿、そして最後まで妻や周りを案じて散っていった姿に、多くの人が魅了された。本作を機に絶大な人気を得たドンソクさんのその後の活躍っぷりは言わずもがなだ。
とにかくキャラが良いというのはKゾンビの強みで、これは『今、私たちの~』でも健在である。最初は少し頼りないが修羅場を潜り抜けるうちに勇敢な戦士となっていく主人公を始め、彼が思いを寄せる幼馴染、彼女が思いを寄せる竹内涼真似のイケメンナイスガイなど、こちらも「何とか全員生きてくれ!」と願わずにはいられない素敵な登場人物ばかり。そんな彼らが血みどろ上等、内臓ぶちまけどんとこいなゾンビ地獄で這いずり回り、犠牲者を出していく様に心が引き裂かれる思いだった。