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「退会は毎年手続きが必要です」「周囲に話すことはお控えください」…PTA退会を阻止しようとする人々の驚くべき“ナゾ対応”の実態

2022/03/28
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「人に話すな」というのは、私の表現の自由の侵害ではないか、ということ。

 しかし残念なことに、教育委員会の担当者も教頭と同様、「今日明日変えられるものではない」と言うばかり。

 Mさんは、教育委員会にも、PTAにも見切りをつけました。「退会はしたし、受理もされたので、もういいかなと。ちなみに来年、退会届は出さないつもりです(既に退会しているので)」ということです。

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子どもにも『みんなと同じじゃない良さ』みたいな価値観を

 なお、冒頭でも書いたように、PTAを退会すると「お子さんに記念品をあげません」などと言われることがよくあるのですが、今のところこういったことは言われておらず、Mさんからも特に確認はしていないそう。

「そもそもPTAが記念品を配ること自体に、私は疑問があります。みんなから集めたお金で、みんなでおそろいのものを買うのって、要らない人もいますよね。

 学校がよく『裁縫道具セット』とか業者の封筒を配って、購入希望者にだけ販売しますが、PTAもこれと同じようにやればいいのに、と思います。『みんなと同じが安心』という人はそれを買えばいいし、ネットでもっと安くてかわいいのを買いたい人はそれを買えばいいですよね」

 確かに、その通りだなと感じます。200~300円程度のものならまだしも、1000円近く、あるいはそれ以上のものを、不要なのに「買わされている」ような状況に疑問を抱いている人は多いでしょう。要る人が買う、を基本にしていけるとよいのですが。

「もしかしたら、これからうちは記念品を配られないかもしれませんが、それでもいいです。『みんなと同じじゃない良さ』みたいな価値観を、子どもにも持ってもらいたいと思うので」

割り切るのも選択の一つ

PTAの実態を紹介した大塚玲子氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)

 本当はPTAは、学校という公共の場で優先的な待遇を受けている以上、その学校に通うすべての子どもを対象に活動するのでなければおかしいはずです(詳しくは前回記事参照)。でも残念ながら、非会員家庭の子どもを活動の対象外としてしまうPTAも、未だにときどきあります。そんなPTAにあたってしまったときは、Mさんのように割り切るのも一つの選択でしょう。

 PTAの活動実態は、学校によって大きく異なります。Mさんが役員を務めた真ん中の子の学校のPTAのように賛同できるものなら入ればいいですし、そうでないと感じるものなら入らなくてもよく、退会だって可能です。

 この春、保護者も教職員も、PTAに入るか入らないかを自分の意思で決めてもらえたらと願います。

「退会は毎年手続きが必要です」「周囲に話すことはお控えください」…PTA退会を阻止しようとする人々の驚くべき“ナゾ対応”の実態

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