PTAに関しては、コロナ禍の便益を感じている保護者が多いかもしれません。毎年行われてきた学校やPTAの行事が軒並み縮小、中止となるなか、「いまなら仕事が少ないからラクにノルマをこなせる」という読みで、役員や委員に立候補する人が続出しています。さらに「例年通りの活動をやめても実は問題ない」ことを実感し、これまでのやり方を見直す空気も広がりつつあります。
そもそもPTAとはどんな団体なのか。その名前からして、保護者(Parent)と教職員(Teacher)が子どもたちのために協力する会、と理解されていますが、現実には「学校のお手伝い」を中心に、前年通りの活動を繰り返す、保護者、実質母親たちの義務的活動、という認識が一般的です。
じゃんけんやクジで役員にあたり、泣きだす母親も
法的な根拠は一切ないのに、多くのPTAでは「必ずやる」というルールが定着しており、加入から強制です。保護者は子どもが学校に入ったら「PTAに入るか否か」を聞かれることなく、いつの間にか会員として会費を徴収され、活動参加をも強いられています。
母親たちの心を最もざわつかせるのは、4月の保護者会で行われるPTAの役員(委員)決めでしょう。多くのPTAには「各クラスから必ず何人の委員を出す」という謎のノルマがあるため、引き受ける人が出るまで何十分も、ときには何時間も沈黙が続くのです。それぞれ「できない理由」を公表させられ、その理由で「免除」を認めるか否か、ほかの人たちが挙手で判定することもあります。じゃんけんやクジで役員にあたり、理不尽さのあまり、泣きだす母親も出ます。
PTAはジェンダーバランスも最悪
この恐ろしい役員決めを表面上なくすため、「ポイント制」を採用するPTAもありますが、これまた厄介な仕組みです。ポイント制とは、「本部役員をやると5点、委員は3点、係は1点」といったふうに活動ごとに得られるポイント数を定め、「卒業までに何点ためる」というルールを課し、全保護者に漏れなく活動させる仕組みです。役員決めは早く終わりますが、徹底した強制ルールなので、PTAの雰囲気も保護者の関係も、より殺伐としたものになります。しかも、ポイント制は一度始めると、やめるのも困難です。誰かが「やめよう」と言いだすと、「私が溜めたポイントが無駄になってしまう!」という恐怖感から、反対する保護者が出てくるからです。