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「退会は毎年手続きが必要です」「周囲に話すことはお控えください」…PTA退会を阻止しようとする人々の驚くべき“ナゾ対応”の実態

2022/03/28
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教頭先生から渡された退会届に、驚くような文言が

「上の子のときから積もっていたモヤモヤもありました。以前、地区PTAのクリスマス会に子どもたちを連れて行ったとき、『真ん中の子はこの地区PTAの子じゃないから、その子の分のお菓子やお弁当、おもちゃはない』って言われて。

 好んで障害がある子になったわけでもないし、好んで地域外の学校(特別支援学校)に行ったわけでもない。それでもこの子はここに連れて来るしかないこの状況で、こんなふうに言われちゃうんだなって。すごく理不尽な感じがして。それもけっこう、ひきずっていたんですよね」

 悔しい思いが蘇ったのか、電話口のMさんの声は少し震えているようでした。

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 悩んだ末、ようやくMさんが退会届をもらいにいったのが、昨年の11月。しかし、教頭先生から渡された退会届には、驚くような文言がありました。

「退会は毎年手続きが必要です」

「退会したことを周囲に話すことはお控えください」

 なんだこれは…!? Mさんは衝撃を受けましたが、なんとか平静を保ち、教頭先生に電話で問い合わせます。

©iStock.com

「今日明日変えられるものではない」と言うばかり

「『来年も退会届を出せ』といいますが、カード会社だろうがスポーツクラブだろうが、退会した人を年度が替わったらまた勝手に入会させるって、あり得ないでしょう。それに勝手に入会させるということは、退会した人の個人情報をPTAが持っているということですよね。それって学校にもPTAにも問題があるんじゃないですか?」

 ところが、教頭は「そこはちょっとしょうがない」「確かに問題だけれど、今日明日には変えられない」などと逃げるばかり。Mさんも「確かに、すぐに変えるのは難しいだろう」と思い、しばらく待ってみましたが、3か月経っても何も返事はこないまま。今年の2月、ついに退会届を提出したのでした。

 しかしそこで再び、びっくりすることに。翌々日に子どもが持ち帰ってきた「退会届の受理書」には、またもや同じ文言があったのです。

「退会は毎年手続きが必要です」

「退会したことを周囲に話すことはお控えください」

 これ以上、教頭先生に言っても無駄なのか……。そう感じたMさんは、今度は教育委員会に電話で相談し、事情を説明しました。

 退会後もさらに退会手続きが必要ということは、保護者の個人情報を勝手に使って自動入会させていることを意味し、学校の個人情報の取扱いに問題があるということ。