3月9日に行われた韓国大統領選挙で、最大野党だった「国民の力」の尹錫悦氏(61歳)が新大統領に当選した。
事実上一騎打ちとなった李在明「共に民主党」候補とはわずか24万7077票、0.73ポイント差(尹氏48.56%、李氏47.83%)の超接戦だった。選挙前には、3~5ポイントの差で尹氏の勝利と見られていたが、両候補の得票差が縮まった理由のひとつに挙げられるのが20代の女性票だ。
尹氏が公約に掲げていた「女性家族部(省)廃止」に反対し李氏に票が集まったといわれ、渦中の「女性家族部廃止」は早くも新与野党の最大争点になっている。
パク・ジヒョン氏(26)を非常対策委員会の共同委員長に抜擢
尹氏当選の翌11日、進歩系紙「ハンギョレ新聞」は「尹錫悦当選者、女性家族部廃止撤回で”国民統合”の真正さを見せろ」という見出しの社説を掲載。「共に民主党」のある議員も「(女性家族部廃止は)すべて尹錫悦の思い通りにならない」と自身のFacebookに書き込むなど徹底して反対していく姿勢を見せた。
「女性家族部」の廃止は国会での同意が必要なため、野党の賛成が不可欠だ。通常、新政権が誕生すると、ハネムーン期間といわれ、半年ほどはスムーズに国政運営ができるよう野党が協力するといわれているが、今回はそうはいかないようだ。
大統領選翌日には、「共に民主党」は人事を刷新し、非常対策委員会の共同委員長にデジタル性犯罪「n番ルーム事件」を最初に暴いた追跡団「火花」のパク・ジヒョン氏(26歳)を抜擢した。
パク氏は選挙期間中の1月末、同党の選挙対策委員会女性委員会副委員長に迎えられていた。「n番ルーム事件」は女性に性的な写真や動画の撮影を強要し、それらをテレグラム上に作った会員制の部屋で公開して金銭を稼いでいた事件。犯人はSNSでアルバイトと称して女性を集めていた。
2020年3月に犯人の一人が逮捕されて明るみに出たが、これは記者志望だったパク氏らが潜入取材して明らかになった犯行だった。
中道系紙記者は言う。