女性票を集めるため、“フェミニズム政党”へ
「『共に民主党』が思った以上に女性の支持を集められた立役者のひとりがパク氏ともいわれています。6月には地方選挙を控えているので、『共に民主党』は大統領選で得票率の高かった女性に焦点を絞り、“フェミニズム政党”を標榜していくつもりでしょう。過去のことはなかったことにするつもりのようです」
過去の話は後述するが、大統領選挙の得票率をみると李候補者への20代以下の女性票は58%と過半数を上回り(尹氏は33.8%。地上波KBS、SBS、MBC3社共同の出口調査)、女性票だけを見ると20~50代まで李候補のほうが高い結果だった。一方、20代男性では尹氏が過半数を上回る58.7%を得ており(李氏36.3%)、20代男女では支持が真っ二つに分かれている。ちなみに30代での女性票は李氏49.7%、尹氏43.8%、男性票は李氏42.6%、尹氏52.8%となっている。
今回の大統領選挙では20~30代がスイングボーター(選挙の勝敗を決める浮動票のこと)といわれ、各候補はこの世代に訴える「兵役の服務時の給料アップ」や「デート暴力・性犯罪への処罰強化」などの公約を次々と掲げていた。「女性家族部廃止」もそのひとつで、女性ばかりが配慮されていると不満を募らせている20代の男性を特にターゲットにしたものといわれた。
当時、尹候補者がこの公約を発表すると男性からは歓迎されたが、女性運動団体などからは「韓国のフェミニズムが後退する」「20代の男性票を狙い、ミソジニー(女性嫌悪)を煽り、分裂を作っている」などの痛烈な批判が巻き起こった。
大統領選挙が間近に迫った2月下旬、ツイッターには「女性が選ぶ、女性が変える」というハッシュタグが登場した。尹氏の「女性家族部廃止」に反対し李候補支持を表したり、「1番男(李在明)を支持しているわけではないけれど2番男(尹錫悦)を当選させないために1番を選択しよう」といった“戦略的投票”を呼びかける書き込みが目立った。
一方、廃止を支持する声も多い。