また、彼の長年にわたる友人である福山雅治は、週刊SPA!のインタビューで大泉について「実は今までいそうでいなかった」「日本人俳優史上最先端のハイブリッド」「まさに時代が求める男」と分析。リップサービスも多少あるかもしれないが、日本のトップクラスのエンターテイナーである福山の見立ての精度はかなり高い。このまま行けば、3年連続で紅白歌合戦の司会を務めることはほぼ確定だろう。
ファンには大変失礼だが、とりわけ絶世の美男子、イケメンでもないのに、なぜか多くの人たちから愛される大泉。寄せられる期待や重圧にぼやきつつもしっかり結果を残す。そこが本作の頼朝とオーバーラップし、不思議な没入感を醸し出しているのだ。
頼朝像の決定版とも言えるハマりぶり
『鎌倉殿の13人』では今後、頼朝の躍進が描かれていく。持ち前の強運と人たらしで周囲を魅了し巻き込みながら、軍勢を増やして勝ち進んでいく様子は、まるで大泉洋そのものの生きざまを見ているかのようでもある。
しかし、そこから一転し、頼朝は強大な権力を手にしていく過程で、数々の戦で武勲を挙げてきた弟・源義経(菅田将暉)を追放するなど、それまで以上に非情に徹していく。昨年末放送された『あさいち プレミアムトーク』では、大泉自身が「鎌倉に移ってからの展開がシビア」とも語っており、コミカルな前半とのギャップがポイントになっていくことは間違いない。その時にどんな芝居を見せてくれるのか楽しみにしているのは私だけではないはずだ。
かえすがえすもこのドラマは頼朝が主役ではないのだが、大泉自身の姿を重ね合わせながら見ると、主人公に引けを取らない実に魅力的なキャラクターになってくる。これまでたくさんの俳優が頼朝を演じてきたと思うが、現時点で決定版と言っても良いのではないだろうか。
平凡にして非凡。大泉頼朝の行く末を最後まで見届けたい。