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『土曜ワイド劇場』を彩った高橋英樹、船越英一郎の名演はどのように生まれた?「片平なぎさ、水野真紀といった女優の引き立て役に…」

『2時間ドラマ 40年の軌跡 増補版』より #2

2022/03/29

遅れてきたキング・船越英一郎が初の主役の座に

 82年のデビュー以来、2時間ドラマへの出演数は5局合わせて300本以上。

 あの男が42歳にして初の単独主演を果たした。03年開始の土ワイの新シリーズ『火災調査官・紅蓮次郎』の顔となるのは船越英一郎。

船越英一郎 ©文藝春秋

 映画のスタッフが2時間ドラマの現場に移行し、かつての名監督がテレビの演出を手がけるのを見ながら、「2時間ドラマは毎週封切りされる映画」「映画は映画館ではなく、テレビで見る時代になった」と頭を切り替えて20年余り。

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 男女問わず、様々なタイプの俳優とコンビを組んできた。とくに片平なぎさ、水野真紀、眞野あずさといった女優の引き立て役として、ときにコミカル、ときにシリアス、どんな職業でも軽やかに演じてきた。彼の持ち味である男女の掛け合いは、海外ドラマを研究の末にあみだされたもの。それを活かしたのが火サスの『小京都ミステリー』だった。

 が、それも01年に30回をもって終了。それにもめげず、俳優人生のほぼすべてを2時間ドラマとともに歩んできた彼の集大成ともいえるのが、『紅蓮次郎』である。

「真実は必ず灰の中にある」、ラストで犯人を名指しする「火元はお前だ!」などの決め台詞は、ある意味で船越自らのセルフパロディーと言える。それは自身が2時間ドラマの隆盛と停滞を身をもって体験してきたからこそ、可能になったのだ。

前編を読む

2時間ドラマ 40年の軌跡 増補版

大野 茂

東京ニュース通信社

2021年12月22日 発売

『土曜ワイド劇場』を彩った高橋英樹、船越英一郎の名演はどのように生まれた?「片平なぎさ、水野真紀といった女優の引き立て役に…」

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