NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は、大正から現代にいたる時代が3部構成で描かれるなかで、親と子など2役を演じる俳優が何人かいる。堀部圭亮もそのひとりだ。

 大正末から昭和前半にかけての岡山を舞台にした第1部では、堀部は初代ヒロイン・安子(上白石萌音)の実家近くの荒物屋の主人・赤螺(あかにし)吉兵衛を演じた。さらに第2部のヒロインである安子の娘・るい(深津絵里)が1965年に京都で回転焼屋を開店して以降は、戦災死した吉兵衛の息子・吉右衛門として登場し、るいと同じ商店街で荒物屋から鞍替えした電器店を営む。

3月25日は、56歳の誕生日

 実年齢でいえば、堀部は1966年3月25日生まれで、るいの娘のひなたと同級生ということになる。ちょうどきょうが誕生日で56歳になった。5年前に放送された深夜ドラマ『マジで航海してます。』に商船大学の鬼教官役で白髪を染めずに登場したときにはちょっと驚かされたが、いまやそれもまったく違和感はない。『カムカム~』での厳格で口うるさい店主役などこの風貌にぴったりだ。このほか、今月14日にゲスト出演したフジテレビの月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』第10話での焼肉店の男しかり、劇中の空気をピリッと引き締めるような役がじつによくハマる。

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NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』に出演 番組公式サイトより

 そんないまの堀部しか知らない若い世代には想像がつかないかもしれないが、かつて彼は勝俣州和と「K2」というコンビを組み、お笑いタレントとして活動していた。また、放送作家としても「竜泉(りゅうせん)」というペンネーム(生まれ育った東京都台東区の地名に由来)で、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』などのバラエティ番組に携わっている。

高校中退、アウトロー志望だった過去

 ただし、もともとお笑い志望だったわけではない。20年ほど前のインタビューでは、16歳で高校を中退後、アウトローの世界に入ろうと思っていたと、驚きの告白をしている。そこでまず入れ墨を彫ってもらおうとしたところ、彫師に「二十歳をすぎるまでは、おまえは親のもんだ。人様のものに俺は彫れん」と断られたという(※1)。