毎年、11月頃から次年度の「予測カレンダー」を制作している。小売業やサービス業向けの景気や消費トレンドを予測したカレンダーで、100枚以上のレポートをセットにして販売している。

 そんな仕事を15年以上も続けていることもあり、最近、経営者や投資家からロシアとウクライナの紛争について質問を多く受けるようになった。

 年末に2022年の予測を立てた際、中国と台湾の問題は調査対象にしていたが、ロシアとウクライナの軍事衝突は想定外の出来事だった。今回の紛争を織り込んだうえで、2022年の予測を大幅に修正して今年の後半に向けた小売業、サービス業の予測を改めて立ててみたい。

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15年以上、次年度の「予測カレンダー」を制作している経営コンサルタントに、ウクライナ侵攻を反映した「2022年のこの後」を聞くと……

ウクライナ侵攻で何が変わる?

 予想が大きく変更となったのは物価上昇が収まるタイミングである。原油の高騰は北半球がエネルギーを使う冬を過ぎれば、ある程度、抑制されると考えていたし、半導体不足も夏ごろには一部で解消すると予想していた。物流の停滞もコロナの流行が一息つく7月頃には落ち着き、夏以降は物価の上昇を押し上げる要因は和らぐと思っていた。

 しかし、これらの楽観的な予測は大幅に変更せざるを得なくなった。石油や天然ガスの供給は混乱を回避することが難しく、ロシアに対する経済制裁で物流の停滞にも拍車がかかる。小麦などの食材の原材料が高騰しているほか、ガソリン代の値上がりで、海産物や農作物、梱包資材の価格までもが大幅に上昇している。

ガソリン代を始め、文字通りの「値上げラッシュ」が起こっている ©iStock.com

止まらない値上げラッシュの波…この夏、「目に見える影響」がやってくる

 3月7日の日経MJの記事によると、450gのキユーピーマヨネーズは2022年1月現在で店頭価格が204.8円に達している。2021年6月と比べて14%も値上がりしており、過去50年間で最も高い水準となった。

「定番」のマヨネーズも過去50年間で最も高い水準に ©iStock.com

 食用油の日清オイリオやJ-オイルミルズも4月1日納品分から21年以降で5回目の値上げを実施する。日本マクドナルドも一部品目を3月14日から10~20円値上げすると発表した。

「原料や燃料の価格は来期にかけて高止まりするだろう」(味の素の西井孝明社長)

 値上げラッシュの波はしばらく収まる気配はない。これらの物価上昇は、消費にいつごろから影響が出始めるのか。

 日本の場合、エネルギー全般を海外から輸入しているため、影響が出始めるまでに2~3ヵ月のタイムラグがある。おそらく、夏ごろから電気代やガス料金が値上がりし、その頃から物価の上昇を実感、本格的に消費に打撃を与え始めるのは7月から8月にかけてではないだろうか。