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 当時、日本はニクソンショックから立ち直りかけており、前年から列島改造ブームによる地価の高騰でインフレ気味になっていた。そのタイミングで第1次オイルショックが襲ってきた流れは、ロシアとウクライナの紛争で原油価格が高騰し、コロナ回復の時期にあわせて物価が上昇した今回のパターンと非常に酷似している。

 第1次オイルショックを日本はどのように切り抜けたのか。

 まず、エネルギーを大量消費する産業そのものが大きく見直された。製鉄や造船などの製造業から、電気機械や自動車のモノ作りの製造業にシフトし、資源の乏しい日本が経済大国に成長する流れを作るきっかけとなった。その後、日本は世界の経済大国へと仲間入りし、欧米諸国と並ぶ生活水準を手に入れたのは周知の事実である。

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 今回のウクライナとロシアの紛争に関しても、日本が停滞する経済構造を大きく見直す機会になりそうである。今まで常識だと思っていたことが非常識となり、ビジネスで当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなくなる。その歪みの中で、新たな産業やサービス、商品が生まれて、ビジネスチャンスを掴んだ企業が大きく成長する。

 例えば、景気低迷でリストラが加速すれば、副業に従事する人を積極的に採用する企業が増えるかもしれない。また、世界的な物流の停滞から国内に生産拠点を設ける企業や、人件費の高騰から無人店舗を導入する企業が増えることも予想される。

カギは「11月」にあり!

 2022年の後半で注目したいのが11月だ。アメリカの中間選挙と、サッカーワールドカップのカタール大会である。

ワールドカップでも使用されるカタールのハリーファ国際スタジアム ©iStock.com

 中間選挙でバイデン氏の民主党が共和党に大敗すれば、2年後の大統領選の行方が分からなくなる。アメリカの統率力が弱まれば、ウクライナ以外の世界情勢も不安定になり、世界的な物流の停滞がさらに長引く可能性も出てくる。

 サッカーのワールドカップは通常6月に行われているが、今年は中東初のカタールで行われるため、暑さを考慮して変則で11月に開催される。コロナの世界的な感染後、初めて開催されるワールドカップということもあり、世界的な盛り上がりを見せることが予想される。

 景気はムードが大事であり、目に見えて感動を与えるスポーツは、世の中の流れを大きく変える力を持っている。東日本大震災後の女子サッカーのワールドカップで日本が優勝した時のように、年末のワールドカップが日本の景気のターニングポイントになれば、2023年からは消費の明るさを取り戻せるかもしれない。