夏のボーナスは家計の補填に回り、残ったお金も貯蓄に回る。レジャーや贅沢品への消費はできるだけ控えられて、アパレル品や外食などの不要不急の消費は後回しになる。
軸になる「3つの消費トレンド」
もともと楽観的な予測を立てるタイプなので、当初の予想では、3月末には行動制限が解除されて、夏には物価の上昇が一服、リベンジ消費で年末に向けて消費が急回復するシナリオを描いていた。
しかし、ウクライナの問題で物価の上昇に歯止めがかからず、少なくとも年内いっぱいまでは消費の停滞が長引く。仮に紛争が早めに収束したとしても、一度止めた経済を再稼働するには時間がかかる。世界の景気が急回復する可能性は低いと思ったほうがいい。
となると、今後は3つの新しい消費トレンドが世の中の軸になることが予想される。
ひとつはそのままズバリの「節約」である。ガソリン代や電気代が高騰すれば、節約グッズへの消費意欲が高まる。特に夏場はエアコンの節電グッズが注目を集め、冷感マットや扇風機などが好調に売れる。
SDGsを意識する消費者が増えていることから、環境保全をテーマにした節約がトレンドになる。包装紙を使わないパッケージや、詰め替えが前提となった商品、破棄商品の再利用等、環境を考えた商品やサービスが消費者の支持を集める。
在宅ワークも一息つき、弁当箱や水筒を持って会社に行く人も増える。節約料理レシピや100円ショップの活用術などがYouTubeやTikTokで注目を集めることになるだろう。
景気低迷と節約術はセットのようなものである。リーマンショック後に流行った「下取り」「激安ジーンズ」、東日本大震災後に流行った「節電商品」「国内線LCC」など、消費低迷が長引けば必ず節約系のトレンドの波が来る。
世相が暗いときには、反動で明るくて楽しい節約術が注目を集める。節約が「かっこ悪いこと」から「かっこいいこと」へと変わり、SDGsを絡めて「節約をかっこよく見せる」というプロデュース力が企業側には求められそうである。
国からの給付金が出ると…
もうひとつの消費トレンドは、「プチ贅沢」の消費である。「節約」の反動でも生まれうるが、国の政策でも起こってくるだろう。
コロナの感染拡大に伴って行動制限をかけるのが今までの日本政府の方針だったが、物価の上昇で景気が冷え込めば、行動制限をかけて経済をさらに停滞させる施策は打ちづらくなる。