“モノの買い時”は秋からやってくる?
せっかくなのでさらに消費者側に立った予測にも、もう少し触れておきたい。
基本的に消費は「我慢」と「解放」の繰り返しであり、値上げが行われた直後は買い物を我慢するものの、すぐに消費欲を抑えきれなくなり、数ヵ月後には消費が一気に爆発する。
これは消費税の増税直後や、東日本大震災の直後の消費でも現れた反動消費のひとつである。売り手側も、値上げした直後の買い渋りは我慢するものの、数ヵ月後にはしびれを切らして薄利多売で商品を売り出してしまう。
この消費の流れを考えれば、夏ごろにいったんは値上げがピークに達するものの、秋以降にはセール品が出回る可能性は高いといえる。
夏までは節約モードで対応し、欲しいものがあっても我慢。秋ごろにセール品が出回るようになれば、そのタイミングで買い物に走るのも一手といえる。ロシアとウクライナの紛争も今よりは落ち着いていることも考えられるので、多少は景気のムードも明るくなっているかもしれない。
また、11月下旬の「ブラックフライデー」は、反動消費と在庫処分と年末特売のタイミングが重なるため、例年よりも掘り出し物の商品が出やすくなる。欲しいモノがあれば、年末まで待ってみるのもいいだろう。
物価が上昇すると、旧価格帯のモデルを処分しなくてはいけなくなるため、在庫処分のセールを開催する企業も増える。お気に入りのメーカーのSNSやメルマガはマメにチェックしていれば、いち早くお得な情報を入手できるかもしれない。
一方、ネットショップの買い物はやや慎重になったほうがいい。原材料と人件費が高騰する上に、送料までも負担しなくてはいけないネットショップの場合、品質を妥協した商品が出回る可能性もある。
知名度のあるブランドやメーカーの品であれば心配ないが、食品やアパレル、インテリアなど、オリジナル品が多い商品カテゴリーに関しては、店や商品の評価をチェックしながら、慎重に買い物をしたほうがいいだろう。
15年以上予測し続けた立場で見ると…
お先真っ暗の予測ネタが今後も世間に出回ると思うが、15年以上、次年度の予測を立てている立場から見れば、景気や消費は「また凹んで、また上がる」を繰り返しているだけの事象でしかない。その変動の中でビジネスチャンスを掴むためには、多少楽観的な予測を立てて仕事をするほうが、前向きな案件が舞い込みやすくなる。
疫病や紛争、自然災害などの予測できないことが立て続けに起きる時代だからこそ、危機に備える「前向きな予測力」が企業に求められる。