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 そうなれば、物価の上昇に対して、2020年に行われた持続化給付金や10万円の特別給付金のような経済対策を行う可能性はゼロではない。6月から7月にかけては参議院選も控えており、支持率によっては岸田内閣はコロナ対策よりも経済対策に力を入れるのではないか。

 給付金の金額次第では、小売業やサービス業は息を吹き返し、家電やインテリア、アパレルなどのちょっとした贅沢品が売れ始めるだろう。コロナが収束に向かっていることから、旅行やレジャー、外食への支出も期待したいところである。

コロナ禍から続いていた「あるトレンド」

 3つ目の消費トレンドは、旅行や行楽の「安近短」がより強まる点である。コロナ禍でも費用が安くて、距離が近く、日程が短いレジャーに消費者の意識が向いていた。これがガソリン代と物価の上昇でさらに強まり、コストを抑えた近場の遊び場に注目が集まるようになる。

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 手堅いのはコロナ禍で流行ったアウトドア、日曜菜園などの屋外レジャーである。遠くへ行かなくても十分楽しめて、家の食材を使って楽しめるキャンプやバーベキューは、新たに道具を買い足す必要がないことから、引き続き消費トレンドの中心になる。

 ウォーキングやジョギングなどの道具を使わず、高齢者でも楽しめるスポーツにも注目が集まる。コロナ禍中には開催できなかったフリーマーケットや街コンも復活し、お金のかからない「人との出会い」のレジャーが人気となる。

 旅行は県内の宿泊施設が主となり、ショッピングモールやスーパー、アウトレットモールなど地域内で行われる近場のイベントの集客力が高まる。時間や人数の制限を設けながら夏祭りや盆踊りも復活し、安価な夏物のアパレルの消費も回復。物価が高まる中で、消費者はアフターコロナにおける「お金を使わない楽しみ方」を模索していく。

かつての物価上昇はどう切り抜けた?

 次年度の予測を立てる上で参考にするのが、過去に起きた類似する出来事である。大きな天災が起きた後の消費トレンドや、オリンピックの開催の年の消費者の動向など、予測を立てる上で参考になる事象は多い。

 その観点からみれば、今回のウクライナとロシアの紛争を発端にした物価上昇は、1973年に発生した第1次オイルショックに近いといえる。

 イスラエルとアラブ諸国の間で起きた中東戦争で原油価格が急騰し、日本の消費者物価指数は翌年の1974年に23%上昇。「狂乱物価」と言われるほどのインフレが発生した。