Q 対ロシア経済制裁でよく聞く「デフォルト」ってどういう状況?

 ウクライナ侵攻の対ロシア経済制裁で、ロシアの国債の一部がデフォルトになる懸念が……と、ニュースで聞くようになりました。このデフォルトとはどういうことなのでしょうか。また、なってしまうとどんな影響があるのでしょうか。(10代・男性・学生)

3月23日、オンラインで閣議を行ったロシアのプーチン大統領 ©AFLO  

A 要するに「借金を返せない」という意味です

 パソコンなどでは初期設定のことをデフォルトといいますが、こちらは「債務不履行」のこと。要は「借金を返せない」という意味です。

 そもそもデフォルトは「何もしないこと」という意味なので、初期設定のままにしていることや、借金を返さないことという意味に使われるようになったのですね。

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 今回は、ロシアという国家としてのデフォルトが問題になっています。国家の債務不履行とは、発行した国債について利子を払わなかったり、満期になっても全額を返済しなかったりすることです。

 では、デフォルトは誰が判断するのか。これは「格付け会社」です。スタンダード&プアーズやムーディーズ、フィッチなどが有名です。国が国債を発行したり(つまり国が借金したり)、会社が社債を発行したり(つまり会社が借金したり)するときに、発行する債券について格付け会社が格付けをします。たとえばAAAやBBなどの格付けです。

デフォルトを判断するのはスタンダード&プアーズやムーディーズ、フィッチなど「格付け会社」 ©iStock.com

 デフォルトする可能性が低いほど格付けは高くなります。債券を買う側は、格付けが高ければリスクが低いわけですから、利率は低く設定されます。格付けが低ければ、「ハイリスク・ハイリターン」で利率は高くしないと誰も買ってくれません。

 今回、ロシアは返済をルーブルで実行するなどと言い出しています。返済を受ける側にしてみれば、ルーブルを受け取ってもドルに両替できなければ、紙くず同然。格付け会社は、ロシアがルーブルで支払った段階で「デフォルト」を宣言する可能性が高くなります。

 そうなると、国家としても信用は地に落ちます。今後、ロシアが新規に国債を発行する(つまり借金をする)と言っても、誰も買ってくれないでしょう。ロシアは借金できなくなれば、国家財政は逼迫するでしょう。財政危機の可能性が出てくるのです。

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