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「降伏は絶対にありえない」「いま、一番の壁は言葉です」 キエフから日本へ避難した家族が語る“ウクライナのリアル”《国境付近では人身売買の危険も…》

「降伏は絶対にありえない」「いま、一番の壁は言葉です」 キエフから日本へ避難した家族が語る“ウクライナのリアル”《国境付近では人身売買の危険も…》

2022/03/27
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通っていた中学校が昨日、爆弾で壊されたんです

――学校はどうなりましたか?

ナタリヤ 実は通っていた中学校が昨日、爆弾で壊されたんです。いまは先生たちが避難しているところから、オンラインで授業をしています。友達はキエフに残っていたり、避難していたりいろいろだけど、毎日オンライン上では顔をあわせています。

 私のクラスメイトは皆、無事ですね。1日3時間だけですが、友達の顔が見られることでとても安心します。オンライン授業はクラスの半分くらいが参加しています。

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エレナ 私は大学で法律系の勉強を専攻していて、本当はもうすぐ卒業予定だったんです。卒業後は外国に留学するつもりでしたが、こんな状況なので今は何も決まっていません。

©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

キエフを離れたくない人もいれば、出たくても出られない人も

――いまは毎日、何をして過ごしているんですか?

オクサナ 外出する時はちょっと公園で散歩して……というくらいですかね。基本的には姉の家の周辺だけで過ごしています。電車でも家族4人で移動すると、すぐに1000円とかかかってしまいますから。ただ、休日に行われた反戦デモなどには参加しました。あとはずっとネットで現地のニュースをみています。

エレナ 夕方になると、現地の人たちと会話したり、コミュニケーションを取ったりしています。毎日コミュニケーションをとることで、ウクライナにいる人たちも落ち着くんですよ。誰かが心配してくれているのがわかるだけでだいぶ違う。だから、お父さんとか友達とか、できるだけ毎日会話するようにしています。

ロシアへの抗議デモを行うウクライナ国民 ©getty

――キエフに残っている人たちは、街を離れないんですか?

オクサナ キエフが大好きでキエフから離れたくない人もいれば、新しい都市に行きたくないという人もいます。あとは、最初はここまで酷くなると思っていなくて、その内に侵攻が始まってしまって街の外に出るための橋などが壊されて、出たくてももう出られないという人もいると思います。

 いまは下手に家の外に出てしまったら撃たれてしまう可能性がすごく高い。だから安全なシェルターに避難している人も多いんです。さっきナタリヤが言っていたオンライン授業中にも爆撃の音が聞こえますから……。