昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「顔もキツそうなので性格もきっとキツイのでしょう」秘書を苦しめた心ない言葉…“バッシング経験者”瀬戸内寂聴の反応は?

『寂聴先生、ありがとう。 秘書の私が先生のそばで学んだこと、感じたこと』より #2

2022/04/01

「経験者」である先生の反応は…

 周りがどんなに「秘書は引っこんでろ」と言っても、先生は私を表に出そうとする。影武者でいろ、と先生に言われたことは一度もない。「先生がいいと言っているんだからいいでしょう」と私たちをよく知る人が言ってくれた。

 先生は小説家として書き始めた『花芯』に「子宮」という言葉を使ったことで、「ポルノ小説」「自分のセックスを自慢している」などとバッシングされ、4年も文壇から干された。その経験があるために、「そんなこと気にするな。私なんてもっともっとひどい悪口言われていたんだから」と言う。

 先生は私がこういうことを書くこと自体、本当は「みっともない」と思っている。いちいちそんなくだらないことを書くなと。

 共同通信で連載している「まなほの寂庵日記」でこのことを書くと話すと、先生は気に入らなかった。ただ、私はこれも本を出したことによる経験だと、どうしても書きたかった。だってこれが私の感じたことだから。

 今でもいちいち傷ついてめそめそしてしまう。そんなときは家族や友人に相談したり、愚痴ったりして対処している。友人が私以上に怒ってくれるから、逆に驚いてしまうこともある。私のことをわかってくれている人がたくさんいる。また、本を読んでくれた人たち、そして応援してくれる人たちがたくさんいる。それが本当に本当にありがたい。

 私がするべきことは、「普通にしている」ことだ。それに尽きる。

 こうした経験も、私の人生をより濃くしてくれるエッセンスだと今は思う。何かが欠けるとその大切さに気付くし、嫌なことがあると良いことが倍にうれしく感じる。私は人によって生かされているということ。どんな経験も糧にする。

 でもまたうじうじしちゃって、そのことで頭が一杯になってしまう。そんな日々をきっとこれからも繰り返すのだろう……なんだか「トホホ」と情けないような気持ちにもなる。けれど絶対負けない! ちょっと泣いたらまた笑顔でがんばる! そんな私。

この記事の写真(2枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z