99年の生涯にわたって、女性の恋愛や生き方を描く小説を書き続けた作家・瀬戸内寂聴さん。秘書の瀬尾まなほさんは、2011年に寂聴さんが営む寺院・寂庵に就職して以来、誰よりも近くで寂聴さんと過ごしてきました。
ここでは、瀬尾さんが寂庵で「先生」と過ごした日々を綴った『寂聴先生、ありがとう。』(朝日新聞出版)より一部を抜粋。テレビ出演などの露出が増えて、心ないバッシングに晒された瀬尾さんの心境の変化を紹介します。(全2回の2回目/前編を読む)
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私のことを傷つけられるのは…
先生がテレビに出演するとき、「若い秘書」ということで、私もテレビに出演することがある。周りからは66歳年の離れた私が秘書をしていること、そしてそんな私がとても図々しく先生に物を申したりからかったり、またそれを先生が楽しんでいることがおもしろいようだ。
25歳のときからバラエティなどに先生のおまけとして出るようになり、世間からどう思われているのかが気になった私は、自分のことをインターネットで調べるエゴサーチをした。褒めてくれるコメントもありホクホクしていたら、「ああいう顔嫌い」「うざい」などのコメント見て私は固まってしまった。
こ、こわい……。すぐさまその画面を閉じ、恐怖で落ち込んでしまった。「もうテレビなんて出ない」と静かに決めた。妹に愚痴ると、「勝手なこと言う人のことは、ほっとけばいい」と、もっともな意見を言われたけど、私のもやもやが消えることはなかった。
「もうテレビには出ない」と決めたものの、そのあとも何度か懲りずにテレビに出た。私一人で出演した番組もあった。そこでまた世間の反応が気になる私。妹に頼んで代わりにエゴサーチをしてもらった。私に密着し、先生との関係などを紹介してくれた番組について。