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 ファン・ジョンミンが演技派俳優として確固たる位置を固めるようになったのは2005年、パク・チンピョ監督の『ユア・マイ・サンシャイン』だ。農村を背景に2人の男女の純粋で哀切な愛を描いたこの映画で、ファン・ジョンミンは風俗嬢を愛する純粋な田舎の独身男性のソクチュン役を演じた。

 ファン・ジョンミンは切ない愛の痛みでやつれていくソクチュンを表現するため、撮影中の1週間で体重を20キロも減らしたというエピソードは有名だ。映画は305万人の観客を動員する大ヒット作となり、ファン・ジョンミンは青龍映画祭をはじめ、5つの映画賞で主演男優賞を総なめした。

 犯罪組織で潜入捜査をしてきた警官が裏切りと義理との間で葛藤するアクション映画『新しき世界』で、ファン・ジョンミンは華僑で犯罪組織ゴールド・ムーンのナンバー2であるチョン・チョンを演じた。

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 出演シーンの多くないチョン・チョンを観客に印象付けるため、ファン・ジョンミンは衣装から台詞までを自ら修正し、全体分量の80%をアドリブで演じ切った。ファン・ジョンミンは残忍で乱暴な犯罪組織の幹部を、ユーモラスさを失わず、義理と友愛を前面に出すキャラクターに作り上げ、観客から大きな愛を受けた。

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 1000万人の観客を動員した『国際市場で逢いましょう』では朝鮮戦争から現在に至るまで激変の時代を生きたドクス役を演じるため、お年寄りたちが多く集まるソウルのパゴダ公園でお年寄りたちを取材した。一々許可を得て、ビデオカメラに老人の顔を撮った後、ビデオを見ながら老人のしぐさや表情を研究したという。

「映画館を出る観客に映画代が惜しくない芝居を見せたい」という芝居観を持っているファン・ジョンミンは、自分だけの演技の秘訣について次のように語る。

「役に関わる人たちに会って取材をします。記者が取材するように、取材したすべてをノート1冊分にまとめておいて、ずっと工夫しながら少しずつ(芝居のコツを)溜めます。芝居とは元々そうやるべきだと思っています。人の人生を簡単に真似するなんてとんでもない」(2021年8月25日、tvN放送でのインタビュー中)

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 現在発売中の『週刊文春CINEMA!』では、他にもユン・ヨジョン、キム・ユンソク、パク・ジョンミンの3人の韓国人俳優を紹介。記事の全文は誌面でお読み下さい。