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 先述したように映画「ドライブ・マイ・カー」のおもな舞台は広島である。高槻は広島で演劇祭に参加すべく東京からやってきた。そして広島でもいろいろやらかした。そのあと人物像が似ている東出昌大も広島でやらかした。

 間違いない、東出昌大は「ドライブ・マイ・カー」を全力で追いかけています。

「高槻」を演じた、岡田将生 ©文藝春秋

新人時代に感じた、東出昌大の存在感

 さて、こんなことを書いていると東出昌大を茶化しているように思われるかもしれないが、私にとって東出昌大はずっと見続けているスターである。2年前に「文春オンライン」の当コラムでも東出論を書いたくらいだ。

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 モデルだった東出昌大は映画「桐島、部活やめるってよ」(2012)で俳優デビュー。観ていて不思議だった。ほぼ新人なのにそのデカさや存在感は立ってるだけで絵になったからだ。

《よく東出昌大の演技について揶揄する人がいるが私は腹立たしかった。そういう人はいったい芸能に何を求めているのか? 日常にはいない人物をありがたく眺めるジャンルではなかったか? 細かいことをいちいち言うなと思っていた。しかし今回の不倫報道である。私は東出君を大目に見過ぎていたのかもしれない。》(『東出・唐田匂わせ不倫と滝クリインスタから考える「見せ方」の正解と不正解 なぜ私は「東出君を見よ」と言ってきたのか』プチ鹿島、2020年2月7日)

 2年前にすでに困惑していた私でした。東出昌大の運転する「ドライブ・マイ・カー」はどこへ行くのか。見続けようと思います。

 作品としての「ドライブ・マイ・カー」は面白かったです。あらためまして国際長編映画賞おめでとうございます。