前回、「保育園のエキスパート地方議員が語り尽くした、最強の保活『7つの鉄則』」では、保育園の入園申請にまつわるウソとホントを解き明かしつつ、保護者に求められるテクニックと心構えを紹介した。
しかし、そもそもなぜ希望する保育園に入れないのか? 待機児童問題は改善するのか?
再び保育園のエキスパート議員3名に語り合ってもらった。
(司会・構成:渋井哲也)
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親子で朝ごはんを食べられる「とちょう保育園」
――選り好みしなければ、どこかの保育園には入れる状態でしょうか?
本目さよ(台東区議) 残念ながら、台東区はそんな状況ではありません。
上田令子(東京都議) 江戸川区も大変。待機児童が23区内でワースト4位でした(※2017年度は420人)。しかも、「3歳までは親が子育て」という神話がまだ残っていて、全国的にも珍しく公立保育園で0歳児保育をやっていません。そのため、品川区や文京区などに“保育移民”をしてしまう人を何人も見送ってきました。
伊藤陽平(新宿区議) お二人の地元と比べると、新宿は比較的入りやすい地域です。待機児童は27人でした。新宿区は子育てに力を入れていますので、保育園に入りやすくなってきました。日経DUALの「共働き子育てしやすい街2016」では、総合ランキング1位に選ばれました。
上田 そういえば、昨年10月にできた都庁内の「とちょう保育園」は、評判がいいようですね。地域枠部分は認可保育園と同じ扱いで、希望者は新宿区に申し込む仕組みです。
伊藤 あそこはいいですね。手ぶらで行けて、しかも親子で一緒に朝ごはんを食べることができる。
本目 共働きのご家庭にとって朝は忙しい時間ですから、それは助かるでしょうね。
上田 朝ごはんのサービスは有料ですが、それでも毎月1回居酒屋に行くのを我慢すればいい程度の金額です。
伊藤 都庁職員だけではなく、近くの企業の人や新宿区民も利用できます。実は舛添要一前都知事時代に決まっていた事業ですが、話題作りとしてはよかったと思います。企業内保育所の先鞭になるのではないでしょうか。
1歳からの入園が難しい
――0~2歳児の保育園に預けていた子が、3歳以降に転園する先が見付からない「3歳の壁」という問題も指摘されていました。年齢によって、保育園の定員状況は違いますか?
上田 以前ほどは「3歳の壁」とは言われなくなった気がします。
伊藤 新宿だと、1歳からの入園が難しい。このため、需要に応じるために0歳児クラスを作らずに1歳児クラスから、という園もある。0歳児クラスがあると、持ち上がりだけで1歳児クラスの定員が埋まってしまうのです。
本目 台東区では、0~2歳を対象にした小規模園や乳児園は増えてきました。ただ、1歳からの入園については十分に対応できているとは言えません。むしろ私立の認可園が、0歳児クラスの定員を増やしています。ニーズというよりも、0歳児を多く受け入れた方が、園の経営的には儲かるようです。
上田 江戸川区は幸か不幸か0歳児保育をほとんどやってこなかった。だから、1歳児の4月入園が一番入りやすいですね。