ホリエモンこと、堀江貴文さんがTwitterで「(保育士は)誰でもできる仕事」とつぶやいたことは反響を呼び、現場に近い人たちからは批判を浴びた(参考:現場にいればわかる、保育士が「誰でもできる仕事」ではない理由)。

 一方で、現役の保育士の中には、ホリエモンがツイートした意味を理解しようとする人もいた。悩みを抱える保育士に向けた「保育士が辛くなった時に見るサイト ほいくSee!」(https://hoikusee.com)の管理人で、保育士歴8年のヨーコ@保育士ママさんだ。

 ブログの中で「結論から言うとホリエモンさんの考え方は合っています」と書いている、ヨーコ@保育士ママさんに話を聞いた。

「コピペって何?」と聞いてくる人も

ヨーコさんはホリエモンに「感謝しています」と語る ©文藝春秋

――ホリエモンのツイートについてどう思いましたか?

ヨーコ 最初は「え? なんでこんなこと言うの?」と思ったんです。どちらかというとムッとしました。ただ、ホリエモンさんが以前に介護士に関しても似たようなツイートをしていたので、どんな考え方の持ち主なのか興味がありました。冷静になって考えてみると、ホリエモンさんのツイートの内容には一理あると感じています。

――作業の効率化についてどう考えますか?

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ヨーコ ホリエモンさんが言うように効率化は必要だと思います。一般的に、保育園では新卒で保育士になる人がほとんど。その中で、古くからの習慣化されていること、例えば、「手書きの暖かさを大切にすること」などが根付いています。わからなくはないですが、そのために作業効率が悪くなり、子どもたちの保育にしわ寄せがいっています。改善の余地があります。

ヨーコ@保育士ママさん ©渋井哲也

――指導案も手書きですよね。

ヨーコ 役所の監査にかかわっています。手書き書類で提出しなければいけないこともあります。そういう前例も変わっていけばいいと思うんです。

 何しろ、パソコンに弱い職員が多い。エクセルやワードのような一般的な事務作業で使うソフトを使えないのです。いまだに人差し指でキーボードを押している人がいますし、キーボードやマウスの使い方も慣れてはいません。「右クリックって何?」という感じです。「コピペって何?」と聞いてくる人もいて、びっくりしちゃいます。30歳オーバーの保育士では普通なんだと思いますし、意外と新人でもパソコンを使えない人が多い。「しょうがないよね、保育士だから」という空気がまだあります。

 子どもたちが昼寝をしている間に書類仕事が終わらないと、お昼を食べながら手を動かすか、自宅に持ち帰ることになります。慣れてしまえば、手作業よりもパソコンでの作業のほうが速いと思うんですよね。

 ブログのエントリー「ホリエモン『保育士は誰にでもできる仕事』発言で炎上!保育士の私から言わせてください」のコメント欄には、園が保護者と連絡するためのスマホアプリがあるとの書き込みがありました。私もそこで初めて知りました。今度、自分が働いている園でも提案してみようかなと思っています。

 現在は手書きの連絡帳です。コメントは5行ほど書くようにしていますが、個別のコメント以外にも、「ご飯をどのくらい食べたのか」など保育園での過ごし方についても記入します。そのため、一人につき5分くらいかかります。アプリを調べてみたら、コメント以外の部分はタップするくらいです。コメント入力も手書きより楽です。効率化のヒントは得られました。

――効率的ではない作業は他にもありますか?

ヨーコ 誕生会や行事の作り物にも時間がかかります。たしかに、手作りをすれば「保育園らしさ」は出ると思います。園長のこだわりもあるかもしれません。ただ、就業時間内に終わるのは難しい。どうしても残業か持ち帰り。そのため、事務作業だけでも効率化は必要でしょう。

 例えば、私の園では、数年前まで卒園アルバムをその都度作っていました。私がテンプレートを作成して、毎年写真の入れ替えをして印刷業者に出すようになり、だいぶ作業時間が短縮しました。また、行事ごとの写真はホームページの保護者専用サイトにアップロードしていましたが、写真撮影から販売まで行ってくれる業者に外注することで、園での作業はなくなりました。