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前職の経験を保育に生かすという発想

――ヨーコさんは、これまで勤務先の保育園をいくつか移っていますね。

ヨーコ 以前は、認可外保育園で働いていました。当時は手取りが月13万円ほど。この頃から、受験資格を得るために保育補助として働きながら試験勉強をしていました。そして保育士資格試験に合格した後、転職しています。今は認可保育園で勤務しています。当初は月約15万円だった手取り給料は、月約18万円まで増えました。

 転職するときには、「転職サイト」を使いました。私は2つ登録しました。転職サイトの担当者から連絡が来て、今の自分の悩みや「もっとこうした仕事をしたい」と伝えると、希望に近い園を見つけてくれるのです。

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 時給の設定や月給の設定は、保育園ごとにばらつきがあります。残業の有無によっても違ってきます。私は、以前、パソコンを使う仕事をしていました。PCスキルのある保育士が少ないこともあり、園でのパソコンを使った作業は任せていただきました。クラス担当としての人数には入っていませんが、お給料はアップしています。具体的な作業としては、毎月の「お便り」のテンプレートや行事のプログラムを作ったりします。日々の書類以外のものを作るのです。そのため、他の保育士さんは、だいぶ負担が軽くなっていると思います。

 それまで前職の経験を生かすという発想はありませんでした。保育の現場に役立つと思っていなかったんです。園長先生がその可能性を見出してくれました。

――前職では、どんな仕事をしていたのですか?

ヨーコ ホームページ制作会社で働いていました。月給は20万~30万円でした。子育てしながら、パートで働いていました。あるとき、保育園のホームページを作る仕事があり、先生の気持ちや、どんな思いで仕事をしているのかを知ることができました。特に0~2歳はいろんな臨界期があると言われています。そんな大切な成長の段階でかかわる仕事って、他にないと思ったんです。「給料は今より安くなる」と言われましたが、そんな奥深い話を聞いて、それでもやってみたかった。もともと子どもとかかわることが好きだったこともあり、転職を考えました。

 夫は普通のサラリーマンです。理解がありました。生活をしていくお金があれば、たくさんは必要ありません。その代わり、夫とは生活費を切り詰める約束をしました。「これだけのお金で生活をしなさいよ」と。

子どもたちの成長の段階にかかわる仕事は他にない ©iStock.com

――保育士になって刺激を受けたことはありますか?

ヨーコ 「本当に心の綺麗な大人がいるんだな」と思いました。保育業界は女社会なので陰湿なことがあったり、派閥があったりもしますが、そういうのは一部の人だけ。本当に、子どもと接することで気持ちが浄化されていく。だから、みんなやっているんだろうな。

――保育士になって、自分の中での変化はありましたか?

ヨーコ 「保育士あるある」かもしれませんけど、日常生活でも子どもに語りかけるような口調が出ちゃいます。自分の子どもへの接し方も変わりました。人と関わる仕事が好きだったんだな、と思います。

――ホリエモンのツイートから学ぶことはありましたか?

ヨーコ 保育士資格を得るには受験資格を得て、国家試験に合格する必要があります。しかし、専門性と言われている知識は必ずしも保育士に限られたものではありません。そのため、資格プラスアルファを身につける努力が必要でしょう。私の場合ですと、パソコンのスキルです。給料の額面はあがりませんが、効率化によって働く時間が減れば、実質賃金は上がったことになります。

 また、保育士不足の問題を取り上げてくれるのはありがたいですが、潜在保育士が復帰しにくい現状があります。保育士資格を持っている方は女性が多いので、自分の子どもを預けることもある。改善しないと人手不足が解消されない問題は、給料面以外でも多々あります。

 お子さんの大切な時期に、どうしたら可能性を伸ばせるのか、お子さんが笑顔で両親と過ごせるのか。真剣に考えている保育士はたくさんいます。安心して預けていただけるように、一人ひとりが自信や、やりがいをみつけていってほしい。作業の効率化や給料があがらない理由を考えるきっかけになりました。ホリエモンさんには感謝しています。