なぜ鈴木誠也はメジャーリーグに評価されたのか?
では、なぜそれほどまでに鈴木誠也はメジャーリーグで評価されていたのだろうか?
鈴木誠也の名がメジャーリーグ関係者の間で噂されるようになったのは、2019年のプレミア12でのことだ。
鈴木はオープニングラウンドの対ベネズエラ戦から、決勝戦の対韓国戦に至るまでの全8試合で侍ジャパンの「4番」を務め、27打数12安打3本塁打13打点で打率.444、出塁率.545、長打率1.037と出場全選手の中でズバ抜けた成績を残した。その結果、米メディアでも「日本にはまだこんな選手がいたのか?」と取り上げられた。
それはプレミア12がMLBのオフでトレード市場やFA市場に大きな動きのない11月に開催されたからというのも理由のひとつだった。前出のMLBネットワークでは侍ジャパンの試合だけではなく、大会中に起きた各国選手のファインプレーや注目選手を頻繁に取り上げており、その中でひときわ注目されたのが鈴木誠也だったわけだ。
考えてみれば、前回(2015年)大会の時も、侍ジャパンのユニフォームを着た大谷翔平投手(当時、北海道日本ハムファイターズ)が同局の番組で紹介されており、「投手として時速100マイルの速球を投げるかと思えば、とんでもない強打者でありレッドソックス時代のベーブ・ルースの再来だ」などと注目されていた。
鈴木の評価に影響を与えた「大谷という絶対無二」の存在
その4年後に鈴木が「近い将来、MLBでプレーする姿を見たい『Next Big thing(=次の大物)』」などと呼ばれたのは、すでにエンゼルスでア・リーグ新人王を獲得していた大谷という絶対無二の存在があったからだ。加えて昨季、「打者大谷」があと一歩で本塁打王になる活躍を見せたことで、「日本人野手はメジャーで活躍できない」という通説を大いに揺るがせた。
だからこそ、鈴木のカブスでの成否次第で今後もメジャー移籍を目指す日本人野手の評価に影響が出ることは間違いないだろう。
ちなみに前述のような高額契約を結ぶため、カブスは文字通り「誠心誠意、鈴木や彼の代理人と交渉した」という。シカゴの地元紙によると、ロックアウト前にリモート会議で鈴木サイドと面談し、ジェド・ホイヤー編成本部長はその際の手応えから「次なる一手」を考えたのだという。
「獲得に向けた我々の意欲は最初から他とは違うレベルにあり、数多くの交渉材料を準備し、リモート会議でやれることはすべてやった。そこで好感触を得て、さらなるリサーチと次の準備のためにギアを上げたのです」