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「行かないでくれ」か「頑張ってこい」か…広島・鈴木誠也のメジャー移籍報道に抱く切なすぎる思い

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/07

 2021年シーズンが終了。我らが広島東洋カープは終盤戦で一気に加速、完全に諦めていたAクラスに手が届きそうなところまで進むも、残念ながらBクラスの4位で終了。来シーズンに夢を託す結果となった。

鈴木誠也がメジャーに行くにあたっての様々な考察

 そんな中、カープの主砲としてチームを牽引し続けた鈴木誠也が3割1分7厘で首位打者を獲得、4割3分3厘で最高出塁率も記録。さらにホームラン王とわずか1本差の38本塁打というキャリアハイをマーク。これまで不動の4番だった男がさらに「仕上がった」。誰もがそう信じて疑わない最高の成績を残した。

 こうなれば「来年も頼むぞ誠也!」なのだが、皆さんもご存知のとおり、誠也は現在、ポスティングシステムでのメジャー移籍が確実視されている。報道では球団がすでに承諾しているという話で、佐々岡監督も残留を望んではいるが、その一方で「大谷があれだけ活躍した中で(メジャーで活躍する姿を)見てみたいという気持ちもあります」と語っている。やはり行ってしまうのか。ファンとしては、いや、個人的には正直、残ってほしい。1ミリも行ってほしくない。いつも元気で明るく、チームのムードメーカーでもある「主砲」を、いつまでも赤いユニフォームのままで見ていたい。

鈴木誠也 ©文藝春秋

 現時点では、マリナーズ、レンジャーズ、ブルージェイズ、レイズ、フィリーズ、ロイヤルズ、カブス、レッドソックスなどが獲得に乗り出すのではないかと米メディアで報じられているようで、そうなれば争奪戦は必至。最近では5年総額55億円など、具体的な金額も目にするようになってきた。

 たとえばその候補の中のロイヤルズなどは、レフトとセンターは固定されているがライトのドジャーという選手が不調で、6年目の今シーズン、144試合に出場しながら打率2割1分6厘、16本塁打、出塁率2割8分5厘という成績。こうなってくると誠也はまさに「願ったり叶ったり」のライト候補であり、メジャー挑戦と共に始まる争奪戦にロイヤルズが総力をあげて挑んでくる可能性は充分にある。

 と。いまここでは誠也がメジャーに行くにあたっての様々な考察をしているワケだが、先ほども書いたとおり、私は「行ってほしくない」。誠也の人生だし大舞台に挑戦したい気持ちは分かるが、こっちにだってカープファンとしての人生がある。丸のFAショックがようやく和らいだ、その傷がようやく癒えてきたタイミングで、今度は誠也。FAではないが、チームを去ることに変わりはない。江藤、金本、新井。かつて次々と4番を失った過去の苦い思い出がじわじわと蘇ってくる。またその時代? またそういうヤツ? なんとも切ない話ではないか。

 あ~もういい。考えれば考えるほど切なくなる。そうだ。思い切って話題を変えてしまおう。誠也について、違う話をしてみよう。たとえば幼少期の話なんかどうだろう。うん、そうしよう。それがいい。