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プーチン大統領は知っている《対ロシア経済制裁が“無意味”なワケ》 砂糖争奪戦、物価上昇、海外ブランド閉店でも「大丈夫、何とかなるさ」

2022/04/06
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外資ブランド「ロシア撤退」の打撃は少なめ?

 ボリショイ劇場そばのツム百貨店は、日本で言えば新宿伊勢丹のような品揃えの高級デパートだが、9割方の店舗がそのまま営業を続けている。プーチン大統領御用達のイタリア高級ブランド、ロロ・ピアーナもそこで営業中だ。ルーブル安による大幅価格改定で客足こそ鈍っているが、それでもお金があるところにはあるのだろう。買い物を楽しむ客がまだいる。

ツム百貨店の店内。9割方が通常営業を続けている(筆者撮影)

 そして注意すべきは、「ロシアから撤退」と報じられることが多いが、正しくはどの企業も「一時休業」であるという点だ。

 たとえば、IKEAは国内17店舗を閉じたが、詳細を確認すると、休業は5月31日まで、1万5000人の従業員の雇用は継続、ロシアから撤退はしないとしている。マクドナルドなど他企業も同様である。

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マクドナルド1号店のドアに貼られた「一時閉店」のお知らせ(筆者撮影)

 ロシアには、企業側の理由で従業員を解雇する場合、次の仕事が見つかるまでの期間、最大3か月は給与を補償しなければならないという法律がある。仮に今から企業が一時休業ではなく完全撤退を決めたとしても、ロシアで失業問題が本格化するのは6月かそれ以降になるだろう。

 制裁は効果が現れるまでに時間がかかると言われているが、現在のところロシアの状況はこのようになっていることをお伝えしたい。

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