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“地政学”でウクライナ侵攻を解決するとしたら……「プーチンと対等に話せる人を動かすしかない」 話題の“紛争漫画”作者が語る「今回の侵攻の特異性」

漫画『紛争でしたら八田まで』著者インタビュー

 今、ある漫画が話題を呼んでいる。地政学リスクコンサルタントの八田百合が紛争地帯のトラブルを解決する『紛争でしたら八田まで』(講談社)だ。

 2019年から『モーニング』で連載中の本作だが、作中のウクライナを舞台にしたエピソードが、「なぜロシアがウクライナに侵攻したのか?」という疑問を理解するのに役立つとして注目を浴びているのだ。

「実は原稿に追われていて、アシスタントさんに教えてもらうまで、漫画がバズっていることを知らなかったんです……。大きな反響があってびっくりしています。心苦しい一方で、読者から『侵攻の経緯が分かった』という感想をいただけたのはとても嬉しいですね」

 こう語るのは漫画の著者である田素弘さんだ。いま、最も“読むべき漫画”の著者に、連載開始の経緯やリアルな「紛争」について感じたことを聞いた。

2019年より『モーニング』(講談社)で連載中の『紛争でしたら八田まで』 ©田素弘/講談社

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各国の情勢を色濃く反映した舞台設定

『紛争でしたら八田まで』は、イギリス企業でフリーランスとして働く八田百合が主人公。“地政学リスクコンサルタント”を名乗る彼女が、世界各国の紛争地帯を舞台に自身の知性と地政を武器に事件を解決するというストーリーだ。

 そもそもなぜ主人公を“地政学リスクコンサルタント”という珍しい設定にしたのだろうか? 作者の田さんはこう説明する。

「もともと世界各国を舞台にした漫画を描くということが決まっていたんです。この作品の前に考えていたのは、『緻密な計画を立てて、対象を狙撃する』という007やゴルゴ13のようなスパイアクションものでした。

 残念ながらこのアイディア自体はボツになってしまったのですが、各国の情勢を色濃く反映した舞台設定というのは面白いという話になって。そこをもっと活かそうということで、“地政学”を活かして活躍する主人公を考えたんです」

「地政学」という学問をテーマにした理由は…?

 作品の見どころの一つ、主人公がプロレス技で危機を脱するアクションシーンはスパイアクションの名残なのかもしれない。そして、主人公に地政学という武器を与えるアイディアは田さん自身の興味も影響していたという。

主人公の百合はプロレス技が得意 ©田素弘/講談社

「元々、小室直樹という社会学者が好きだったんです。小室さんは何か専門を持たれていたわけではなくて、様々な学問から“総合的に物事を見る”という考え方をしていた学者です。その思想に大きく影響を受けました。今思えばそれは、ある地域の歴史や宗教や文化など、色んな要素を総合的に考えて問題を解決する地政学にとても近い思考だったと思うんですよね。

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