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〈じつはこれには2つの意味があって、政治家は贅沢を享受しているという批判がひとつ。もうひとつ、「ウブロ」はウクライナ語やロシア語で「男根」の隠語に似た発音でもあり、「プーチンの男根野郎」と言っているようにも聞こえる。こうした風刺がウケたのです。〉(岡部教授)

 また、ウクライナは国会での乱闘もすさまじく、とくに親ロシア派の国会議員は腕っぷし自慢が多いことで有名なのだが、それを風刺したシーンも出てくる。

〈『国民の僕』でも乱闘シーンが度々出てきますが、大統領が「プーチン政権が転覆した!」と叫ぶと皆が急に静まり返るのがお決まりのオチ。こうして毒を吐き出すのが、ゼレンスキー流の風刺なのです。〉

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岡部教授とゼレンスキー大統領 ©岡部芳彦

ポピュリストか? オポチュニストか?

 しかし現実を見れば、ゼレンスキー氏のもとには暗殺者が送り込まれ、南東部ではロシア軍がじわじわと占領地域を拡げている。アメリカをはじめNATOからの軍事支援も期待できない。そんなゼレンスキー氏には「大衆を煽動する危険な衆愚政治家(ポピュリスト)」との批判もある。

 この点について、岡部教授は「私はむしろ、良くも悪くも臨機応変に姿を変える機会主義者(オポチュニスト)的な面があると思います」と読み解く。

 では、彼のオポチュニストとしての本領は、今後の停戦交渉でどう発揮されるのか? 4月8日(金)発売の「文藝春秋」2022年5月号、および「文藝春秋 電子版」では岡部教授のレポート「ゼレンスキー『道化と愛国』」を掲載している。

文藝春秋

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ゼレンスキー「道化と愛国」