コロナ禍で多くの外食産業が苦戦するなか、比較的好調なのが焼き肉店だ。「焼き肉店=換気が良い」とのイメージがあり、食べ放題があるのでコスパも高い。さらに、少人数の家族連れが客層の中心であることなどが強さの理由とされている。

 一方、客側のマナーはどうなのか。以前に焼き肉店で働いていた元従業員によると「食べ放題プランのある焼き肉チェーン店では、マナーの悪いお客さんが目につきます。信じられないようなことをするヤバいお客さんも少なくありません」という。

 焼き肉店に食べにくる“ヤバい客”とはどんな人たちなのか。焼き肉チェーン店の元アルバイトが遭遇したおかしな客、迷惑な客のエピソードを紹介する。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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肉を焼くロースターの水に、たばこの吸殻が……

 中島潤二さん(仮名、26歳)は、昨年まで東京郊外にある某焼き肉チェーン店で働いていた。週末や祝日の夜になると、食べ放題を目当てに3~4人ほどの家族連れや友人同士のグループで店内が賑わい、行列ができるほど繁盛していたという。

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 中島さんは「お客さんのマナーはお世辞にも良いとは言えない」と話す。

「たとえば、よくあるのが、ロースターにためた水に食べ残しや噛み切れなかった肉が捨ててあることです」(中島さん、以下同)

 肉を焼くロースターにはいろいろなタイプがあるが、中島さんの店では網やグリルと熱源のあいだに水をためるタイプのロースターを使っていた。水は熱源に油が直接触れて焦げつかないようにするためのものなので、当然ゴミ入れではない。

「ところが、その水に食べ残しや余った肉を捨てる客がすごく多い。ひどいケースだと、ティッシュなどのゴミ、さらは店内は禁煙なのに、たばこの吸殻が捨ててあることもありました。食べ物を焼くところをゴミ箱にする感覚が信じられません。

 そういうことをされると焦げついてしまって、キッチンまでロースターを持ち帰って丸ごと洗わないといけないから困るんです。ただでさえ土日は洗い物が大変なのに、焦げついたロースターまで洗わせられるのは地獄でした」

安い冷凍肉のレバーを生で食べようとする客

「“情弱”なのかアバウトなのか、レバーを“生”で食べようとするお客さんが多いことにも驚きました」と中島さんはいう。