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 当然、『お客さま、手づかみは困ります。しかも、サラダバーは注文なさっていないですよね?』と注意したんですが、その女性は『なによ! サラダぐらい別にいいじゃない!』と逆ギレ。『いやいや、あなたがやっていることは万引きと同じですよ』と心のなかでツッコミました」(田沢さん、以下同)

 注文していないサラダバーを子どもが勝手に取ってきても注意しない親も多いという。子どもには食べ放題にサラダバーが含まれていないことなど理解できないのだから、子どもに罪はないのだが、店からすると万引きであることに変わりはない。

「そこでサラダバーを注文していないことを席まで言いに行くんですが、たいていの親は、子どもに『だめでしょ』と言うだけで終わり。『あ、そうなの?』と子どもに注意しないケースもある。料金を払ってくれるお客さんのほうが少ないですね」

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寝たふりして食い逃げをする50代のおじさん

 そうした迷惑な客のなかでも、田沢さんがもっともヤバいと思ったのが「寝たふりして食い逃げをするおじさん」だ。

「ある日の夜9時すぎ、セーターにチノパン姿の50代と思しき男性がひとりで来店したんですね。注文したのは3000円弱の食べ放題に1500円の飲み放題で、合計4500円くらい。ひと通り飲み食いすると、口を開けて居眠りを始めました。

 ひとり焼き肉をしにくるお客さんには酔って寝てしまう人もいるので、気にしないで放っておいたんですが、午後11時半ごろになり、閉店時間が近づいてきた。そこで、おじさんに『そろそろ閉店です』と声をかけにいったんですが……」

 すると、おじさんは突然猛ダッシュして店の外に走り、駐車場の方向に逃げて行ったのだという。若いスタッフが必死に追いかけたが、後の祭り。すでにおじさんは駐車場の塀を乗り越え、どこかに消えてしまっていた。

コロナ禍でも新既出店が続くほど好調な焼き肉業界だが…

「おそらく、おじさんは寝たふりをして、スタッフが油断するのを待っていたんでしょう。小ぎれいな身なりをしていたので、こちらも完全に意表を突かれました。

 警察に連絡して防犯カメラの映像も確認したんですが、結局おじさんは捕まらずじまい。逃げ出すときの手口が慣れた感じなので、食い逃げの常習犯なのかもしれません」

 コロナ禍でも新規出店が続くほど好調な焼き肉業界だが、ヤバい客に悩まされる点ではほかの業態と変わらないようだ。焼き肉店に行った際には、ぜひマナーを守ることを心がけてほしい。