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 2011年に富山県の激安焼き肉チェーン店で起きたユッケ食中毒事件は、生で提供していたユッケ用肉をカットした包丁に細菌が付着していたのが原因とされる。事件を受けて、生食用の規格基準が新たに定められ、翌年 7月から牛の生レバーを提供することが法律で禁止された。

「それなのに、いまだに牛のレバーを生で食べられると思い込んでいるお客さんがけっこう多い。席にレバーのお皿を持っていくとそのまま食べようとする人がいるので、『いやいや、ダメですよ! 加熱してください!』と必死で止めていました。

 焼き肉店の食べ放題で提供されるのは、食肉卸売業者や自社のセントラルキッチンで事前にカットされた安い冷凍肉です。はっきり言って質は良くありません。それを生で食べようとするのだからヤバい人たちと思いました」

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自分でつけたシミをスタッフのせいにし、クリーニング代を請求

 肉を焼くときに油がはねる焼き肉店では、使い捨ての紙エプロンが用意されていることが多い。しかし、なかには白い服を着ているのに、なぜか頑なに紙エプロンをつけようとせず、シミがつくと店にクレームを入れてくる客がいるという。

「あるとき、スタッフが下げようとした皿からタレが飛んで服にシミがついたと、白いワイシャツを着た中年男性がクレームをつけてきました。『お前のせいで服が汚れたじゃないか。どうしてくれるんだ』とクリーニング代を要求してきたんです。

 しかし、皿を下げたときの角度を考えると、どう見てもスタッフが原因じゃない。十中八九、その客自身がつけたシミでした。水掛け論になるので店がクリーニング代を負担しましたが、その客は要注意人物としてマークされるようになりました」

サラダバーを手づかみで取る中年女性

「サラダバー絡みのヤバい客もいる」と話すのは、首都圏の焼き肉チェーン店で働いていた田沢秀直さん(仮名、31歳)だ。

 焼き肉チェーン店にはサラダバーがある店も多い。もちろん、これはファミレスのドリンクバーと同様にメニューのひとつなので、注文しなければならない。しかし、田沢さんによると、このサラダバーを万引きする客がじつに多いのだという。

「一番びっくりしたのは、富裕層っぽい身なりの上品な中年女性のお客さんが、サラダバーを注文していないのに、トングを使わずに手づかみでサラダをお皿に取っていったときでした。