優先席に寝転んで加熱式たばこを吸っていた男に「たばこを吸うのをやめてください」と注意した高校生が、逆ギレされて暴行を受けたJR宇都宮線の事件はまだ記憶に新しい。
事件のきっかけとなったのは喫煙だったが、ほかにも電車内のヤバい行為はたくさんある。たとえば、酔っぱらい、大声を上げるなどの奇行、セクハラやつきまとい……。
日常的に電車を利用していれば、誰でも一度はこうした迷惑行為に遭遇したことがあるはずだ。電車内で目撃された“ヤバい乗客”のエピソードを紹介しよう。(取材・文=押尾ダン/清談社)
◆◆◆
高校生に注意されてナイフを出す老人
電車内で遭遇する迷惑な乗客といえば、まず真っ先に思い浮かべるのが「酔っぱらい」だ。神戸市に住む会社員の男性(27歳)は先日、神戸市営地下鉄の車内でJR宇都宮線の事件を彷彿とさせる光景を目にしたという。
「得意先から会社に帰る途中だったので、午後2時ごろのことだったと思います。真っ昼間だというのに、パンクロッカーのようなファッションのおじいちゃんがウイスキーのボトルをラッパ飲みして、大声で何やらひとりごとを言っていたんです。
あまりにうるさいので、そのうち近くの男子高校生2人が『静かにしてください』とおじいちゃんに注意したんですね。すると、おじいちゃんは頭にきたらしく、ポケットに手を突っ込んで小型の折りたたみナイフを取り出したんです」
ひとつ間違えば殺傷事件に発展しかねない事態に、車両全体が騒然となったという。しかし、不幸中の幸いというべきか、酔っぱらいの男性はそれ以上の行為に及ぶことはなく、次の停車駅で駅員に取り押さえられてどこかに連行されていった。
「おじいちゃんは駅員に取り押さえられたとき、ハンカチを取り出して『違うんだ! このハンカチを切るためにナイフを出したんだ!』と言いわけをしていました」
これ以外にも酔っぱらいによる迷惑エピソードは多い。
「平日の夜、わりと混雑した小手指行きの西武池袋線に乗ったときのこと。近くで『プシュッ』という音がしたので見ると、スーツ姿の中年男性が立ったままストロング系缶チューハイを飲み始めたんです。しかも、カバンからツマミのスルメと貝ヒモを取り出して、くちゃくちゃと音を立てて食べながら。
アルコールとスルメの生臭い匂いが車内に充満し、かなりイラッとしました。ほかの乗客も舌打ちしたりして露骨に不快感を示したんですが、その中年男性はお構いなし。立ったまま“ひとり宴会”を続けていました」(女性、31歳、メーカー勤務)
「夜11時ごろに下りの京王線に乗っていたら、隣の車両から『大丈夫ですか!』という男性の大きな声が聞こえてきた。近づいてみると、人だかりが出来ていて、その中心に酔っぱらって『大丈夫ですか!』と叫ぶスーツ姿の若い男性がいました。
その男性は人間ほどの大きさの“何か”に向かって声をかけていたんですが、よく見ると、男性が『大丈夫ですか!』と声をかけていたのは黒いソフトケースに入ったギターだった。お前が大丈夫じゃないだろって」(男性、40歳、ソフトウェア開発)