要介護者が大浴場を汚すことも
自らも定住している管理組合の理事長は、実態をこう話す。
「数10万円なので、借金なしでも買える。管理費は高いが、大浴場が使えるので、光熱水費は安い。一方、介護が必要な人もいて、大浴場が汚物で汚れることもあります。亡くなって連絡しても、遺体も部屋もいらないという遺族もいます。相続放棄はこれから増えるでしょう」
それだけに、価格の下落は深刻だ。17年9月、新潟地裁長岡支部で湯沢町のマンション9戸が借金の担保として入札で売られる競売にかけられた。88年から90年までのバブル期に建てられた約23~88平米だが、裁判所がつけた基準額はいずれも1万円だった。
こんなに低いのは、いずれも管理費や修繕積立金の滞納があるためだ。競売で落札した人は、前の持ち主の滞納でも原則として引き継いで払わなければならない。滞納額が建物の評価額を上回ってマイナスなのだが、マイナス価格を認めると、「落札者」はお金がもらえることになる。それはできないので、裁判所は便宜上、1万円の基準額をつけているのだ。
この入札の結果、3戸は1万円で落札されたが、6戸には20万円前後の値段がついた。実は、リゾートマンションを競売にかけるのは、ほとんどが管理組合だ。通常の競売は住宅ローンを貸している銀行がかけることが多いが、リゾートマンションは価格が低すぎて、競売でつく価格は経費にもならないことが多い。しかし、管理組合は滞納を放置すると他の所有者にもモラルハザードが広がる恐れがあり、それを止めるために競売をすることがある。湯沢のマンションはこのケースが多く、毎月数件は競売がある。