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旧制中学はもともとみんな中高一貫だった
中学校が義務教育化されたのは戦後。それ以前、「中学校」に上がるためには入試を受けなければならなかった。ただし、このときの「中学校」が意味するものは、現在の中学校とはだいぶ違う。それがいわゆる明治以来の「旧制中学」である。
旧制中学の修業期間は基本的に12歳から5年間。現在の中高6年一貫校の時期にほぼ重なる。また、現在の「高等学校」のようなものはなかった。当時の「高校」は、もともとはその名のとおり「高等教育」つまり大学相当の教育を行うものとされていた。現実には「大学予科」つまり現在の大学の教養課程に相当する教育を行っていた。「高校」に入れれば、原則無試験で大学に入学できた。
終戦後、六・三・三制の導入。小学校の6年間に加え、当初は中等教育までを義務教育にしようと目論んだものの、資金不足から、前期中等教育までを義務教育にしたというのが定説だ。
公立の旧制中学の多くは新制の高等学校に姿を変えた。たとえば東京府立一中は日比谷高校になった。しかし私立の旧制中学の多くは、中学校と高校の両方を設置して、旧制五年制中学と同様の教育を続けた(図表)。
「中高一貫校」というと、あたかも中学校と高校を無理矢理接続したものだと認識されやすいが、もともとは一つの学校であったものをあとから中学校と高校に切り分けたにすぎない。中高一貫校を「中高一貫校」と呼ぶよりは、現在の3年単位の中学校と高校を「中等教育分断校」と呼ぶほうが、経緯としては正しいのである。