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「非常停止ボタンを“電話感覚”で押す」「線路に降りて物を拾う」元東京メトロ駅員の芸人・鈴木メトロが語る、“軽率すぎる”乗客の実態

各駅マッシュ・鈴木メトロさんインタビュー #2

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 お笑いコンビ・各駅マッシュの鈴木メトロさん(31)はかつて、東京メトロで駅員として働いていた。現在は駅員時代の知識を生かした“駅員あるあるネタ”や“鉄道ネタ”が、YouTubeやSNSで話題を呼んでいる。

 そんな鈴木メトロさんに、意外と知られていない駅のルールや、電車内で緊急事態が発生したときの対処法などを聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く

鈴木メトロさん ©山元茂樹/文藝春秋

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非常停止ボタンを「いつでも押していい」と勘違い

――前編では鈴木メトロさんが駅員時代に遭遇した“クレーマー”について伺いましたが、駅を利用する人の中には「駅のルール」を知らずにトラブルを起こしてしまう人もいるんじゃないですか?

鈴木メトロ(以下、鈴木) 駅のホームにある非常停止ボタンを「いつでも押していいボタン」と勘違いして押してしまう人が結構多かったですね。本当は人が駅のホームから転落した時とかに押すべき“緊急用”のボタンなんですが、“電話感覚”で押しちゃう人もいるみたいなんです。

 例えば、おばあちゃんが腰が痛くて駅員に荷物を持ってほしいからといって、ホームの非常停止ボタンを押してしまったり。高校生同士がホームで喧嘩を始めて、周りの友だちが「おまえらやめろ! 駅員を呼ぶぞ」って感じで押してしまったり……。

 僕の駅員時代にも、30~40代くらいの普通のサラリーマンさんが「あれ? 池袋行きの電車にはどうやって乗ればいいんだっけ?」と駅員に聞こうとして、ホームの非常停止ボタンを押してしまった人がいましたね。その時はちゃんと「気軽に押したらダメですよ!」って怒りました。

 

――ホームの非常停止ボタンを押すと、どうなるんですか?

鈴木 「ジリリリリリリ!」と警報音が鳴って、電車が緊急停車します。そして駅員は、ホームで何が起きたのかを確認しないといけない。だから何事もないのに非常停止ボタンを押してしまうと、結局5~10分くらい遅延してしまうんですよね。