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「非常停止ボタンを“電話感覚”で押す」「線路に降りて物を拾う」元東京メトロ駅員の芸人・鈴木メトロが語る、“軽率すぎる”乗客の実態

各駅マッシュ・鈴木メトロさんインタビュー #2

note

電車内で凶悪犯罪が起きたときの対処法は?

――最近は電車内での凶悪な犯罪も起きていますが、元駅員として思うところはありますか?

鈴木 電車内での事件は、ゼロにはならないと思います。2021年8月に小田急線の刺傷事件が起きたあとすぐ、2021年10月に京王線の刺傷事件があったじゃないですか。

 京王線で事件を起こした犯人の“ジョーカー”は、小田急線の事件の報道を見て「俺もやろう」と犯行を真似してしまった……。悲しいですけど、ああいう事件はどんどん語り継がれちゃうんですよね。だから今度は「京王線の事件を見て僕もやろうと思いました」っていう犯罪者が出てきてもおかしくない。

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 本当は鉄道も、飛行機みたいに改札で手荷物検査とかができたら理想的なんですけど、現状では不可能なので。だから結局は、自分の命は自分で守るしかないんですよね。

 

――「自分の命は自分で守る」ためには、どうしたらいいでしょう。

鈴木 例えば12両編成の電車内で事件が起きて、犯人が5号車にいるとしたら、とりあえず電車の端である1号車か12号車に逃げてください。もし1号車で火災があったとしたら、その時は12号車に逃げる。

 当たり前の話ですけど「とりあえず離れろ」というのは駅員時代にずっと教わっていました。

――京王線の事件の時は、「非常用ドアコック」の使用方法が注目されました。車内で事件が発生するような緊張事態であれば、乗客も非常用ドアコックを使っていいのでしょうか。

鈴木 非常用ドアコックの使用は判断が非常に難しいんですけど……本来は乗客が勝手に使ってはいけないので、基本的には車掌の指示を待ったほうがいいですね。もちろん、犯人が同じ車内にいる中で指示を待つのは怖いし、苦しい時間だとは思うんですけど。現状ではそうするしかないかなと。

 非常用ドアコックを使って勝手にドアを開けてしまうと、走行中に線路に転落して大ケガをしてしまうリスクも高いんです。もちろんケースバイケースではありますけど、まずは車掌の判断を第一にしたほうがいいと思います。

 

――では、車内の両端に逃げること以外に乗客ができることは?

鈴木 車内に「非常通報装置」があるので、まずはそれを必ず押してください。車掌や乗務員に緊急事態であることを知らせるのが第一です。