最終回が目前に迫るNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。親子3世代・100年にわたる愛の物語は、どのような結末を迎えるのか。「週刊文春」はこれまで何度もカムカムについて報じてきた。最終回を控えた今、読み返したい記事を文春オンライン初公開する。文春でしか読めぬものがある――。(初出:週刊文春 2022年3月17日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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初の朝ドラ出演を果たした菊之助
銀幕スターだった初代と、父が遺した映画のリメイクに挑む2代目。“モモケン”こと桃山剣之介を1人2役で演じる尾上菊之助(44)は「親子のつながりを見ていただきたい」とコメントしていたが……。
父は音羽屋の当代にして人間国宝の尾上菊五郎、母は富司純子、姉は寺島しのぶ。令和の歌舞伎界を背負う菊之助だが、以前はドラマへの出演は珍しかった。
「歌舞伎の道を極める真面目なタイプ。ただ、父の菊五郎さんは『破天荒さが足りない』『華や色気も勉強しないと』と漏らしていました」(音羽屋関係者)
それが、近年は「下町ロケット」(18年)などドラマに積極的に進出。「カムカム」で初の朝ドラ出演を果たした。アクション指導の中村健人氏が語る。
「モモケンの映画『棗黍之丞(なつめきびのじょう)シリーズ』の殺陣のシーンは、クランクイン初日に撮影されました。菊之助さんは、昼に動きをつけて夜にはもう本番、というタイトな日程でしたが、手を覚えるのは早く、形もお綺麗で。苦労されている様子はありませんでしたが、『歌舞伎は動きがゆっくりなので、スピード感が違いますね』と仰っていました」
初代と2代目のモモケンでは、動きも異なるという。
「初代は割とシンプルでしたが、菊之助さんも『2代目は派手にしたいね』と。構えを歌舞伎の見得っぽくしています」(同前)
轟監督役の土平ドンペイが明かす。
「『黍之丞、見参!』とポーズを決めた後に、ぴくっと1センチに満たないくらい、僅かに首が動くんですよ。それを見た時ゾクッと鳥肌が立ちました。『これやわ、これはできへんわ』と思いました」
そんな菊之助は13年2月に故・中村吉右衛門の四女・瓔子(ようこ)さんと結婚。同年11月には、長男(尾上丑之助)が誕生している。
ところが――。
「母・富司と“暗闘”が続いている。息子が嫁と一緒に家を出て行ったことが不満だったとされます」(前出・音羽屋関係者)