昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

上白石萌音、深津絵里、川栄李奈…“3世代の物語”「真の主人公」は誰だったのか〈『カムカムエヴリバディ』最終回〉

CDB

2022/04/08

 数多くの賞を受賞し、朝ドラ史上最高傑作の呼び声も高い名作『カーネーション』の最終回、名高いラストシーンは(知りたくない人は読むのをご注意いただきたいが)、主人公の死後、幼馴染の奈津が主人公の生涯を描いた朝ドラ『カーネーション』の放送開始を病院のテレビで見る場面で終わる。物語の始まりと終わりが輪廻するような渡辺あやの脚本に対する賞賛は、時をこえて今も止むことがない。

 4月4日月曜日、『カムカムエヴリバディ』の最終週第1日目のオープニングはそのオマージュではないか、という声がSNSでは溢れた。

 西暦何年かはわからない未来の日本で、白髪になった錠一郎とるいが未来のひなたとスマートフォンで話したあと、「朝ドラの時間やで」とテレビをつけると、そこから主題歌「アルデバラン」が流れるオープニングの画面に繋がる。ジョーとるいが『カムカム』を見ている、と解釈することもできるが、単にカットの繋ぎでそう見えた、と解釈することもできる場面だ。

 だがいずれにせよそれは、物語のラストシーンではない。最終週のサブタイトルは「2003-2025」。『カムカム』の最終回が放送される2022年より3年先まで物語が進むことが予告されている。

©AFLO

文四郎へのブーイングが、作品への不満に延焼しなかった理由

 最終回が未来に進む朝ドラといえば、前クールの『おかえりモネ』のラストシーン、感染症の流行が一段落した近未来で再会する百音と菅波先生を思い出す。だが『カムカムエヴリバディ』はわざわざその前週で本郷奏多演じる五十嵐文四郎を再登場させ、視聴者に期待させた末に「デイジーとの結婚」を告げさせて、強烈な肩すかしを食わせる。

 SNSでは文四郎へのブーイングが吹き荒れたが、それが脚本や作品への不満に延焼しなかったのは、その場面が「ひなたのゴールが文四郎ではない、この物語の結末はそこではない」とわざわざ最終週の前週に念を押すように描かれたことを視聴者が感じているからだろう。

 第104話では『オードリー』の最終回が引用され、「オードリーのヒロイン美月は、連続テレビ小説には珍しく、結婚も出産もしないまま最終回を迎えました。美月と共通点の多いひなたは、これからどうやって生きていくべきか、漠然と考えていました」というナレーションが挿入される。