「知人の意識と呼吸がなくて……」

 3月30日の真夜中、午前1時29分。伊東龍之介容疑者(21)は、千葉市若葉区の自宅アパートから119番に連絡をした。

 ゴミが散らかりっぱなしの2階2DKの部屋。玄関付近には、職業不詳の高橋拓義さん(21)が、仰向けで倒れている。左太腿には複数の刺し傷があり、フローリングの床に黒い血溜まりを作っていた――。

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高橋さんが遺体で見つかった伊東容疑者のアパート

 千葉県警は同日から4月1日にかけて、男女4人を傷害容疑で逮捕した。自称会社員の伊東のほか、通報時に伊東と一緒にいた柏市の自称飲食店従業員・小野恵美(20)。そして伊東の知人である船橋市の自称建設業・関根大和(21)、同じく建設業の少年(19)だ。

 救急隊が到着した時、高橋さんはすでに死亡していた。のちに死因は出血性ショックと判明するが、なぜ逮捕容疑は傷害なのか。捜査関係者が明かす。

「事件は逮捕の“4日前”から始まっていた」

 3月26日夜。伊東ら4人は、船橋市にある高橋さんの自宅を訪ね、外に呼び出した。ひと気のない路地まで移動すると、伊東と高橋さんは激しく言い争いを始めたという。

「伊東サイドと被害者の間で、女とお金が絡むトラブルがあったようだ。口論の果てに揉み合いとなり、伊東が持っていたバタフライナイフを、被害者の左太腿に何度も突き刺したとみられる」(同前)