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「ヒャーッ!」と引き笑いをする“お笑い怪獣”が… くりぃむしちゅー上田晋也が驚愕した明石家さんまからの“凄まじいアドバイス”

『激変 めまぐるしく動いた30代のこと』より #1

2022/04/28
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「YOUちゃん交代や!」「交代とかじゃなく病院です!」

 誰を目指すかを聞いたわりには、ほとんどレッスンはなく、さんまさんが出したボールを打ったり、ボレーの練習をしたりしていたのだが、練習を始めて約1時間半、上田・土田ペアVS.東野・YOUペアで試合をしている時に事件は起きた。

 スマッシュをしようと駆け込んだYOUさんが「ベキッ」という、普段霊長類ヒト科の生き物は出さない音を出して倒れ込んだのだ。東野さん、土田、私の3人は異変に気付き、YOUさんのもとに駆け寄った。YOUさんを見ると、くるぶしの部分が、ほど好い潮風を受けたポンカンのように腫れている。(これは確実に骨折だ)と全員が察知し、どうしたものかと審判をしていたさんまさんを見ると、なんとさんまさんは、我々を見てゲラゲラと笑っているではないか! YOUさんは痛さのあまり泣き始め、我々の手に負える状況ではなくなってしまった。そんな状況を見てさんまさんはやおら立ち上がり、こう発した。

「YOUちゃん交代や!」

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『天気の子』に対抗して『能天気の子』の主演が務まるんじゃないか、と思われる発言をした大御所に対し我々は、「交代とかじゃなく病院です!」と半ギレ気味に進言し、近くの救急病院に担ぎ込むことに。

©文藝春秋

問診表を代わりに記入することになったが…

 着替えもそこそこに車に乗り込むと、さんまさんは「これは捻挫やから大丈夫や」となぜか自信満々。(いえ、絶対骨折です。捻挫しているのはさんまさんの脳内だと思われます)心の中で私なりの診断を下したところで病院に到着した。

 先生が登場すると、さんまさんは「骨折はしてませんけど、一応診てやってください」とあくまで軽傷をアピール。先生はさんまさんの発言を合気道の師範ばりに軽く受け流し、YOUさんを連れて診察室へと入っていった。

 先生に診てもらっている間、さんまさんがYOUさんの代わりに問診表を記入することになったのだが、家族ではないため、わからないことだらけ。友人なら普通あり得ないことなのだが、まず氏名欄のところで引っかかった。

「YOUちゃんの本名って何?」

「そういえば知らないですねー。YOUでいいんじゃないですかね?」

「ええわけないやろ!『アメリカの保険証出してください』って言われるわ!」