たった1日で解散に
「じゃあとりあえず氏名欄はあとで本人に書いてもらいましょう」
「せやな。ほな、住所わかるか?」
皆一様に首を振る。
「せやろなー、お前ら郵便配達の仕事ちゃうもんな」
「住所も本人に書いてもらいましょう」と私。
「せやな。……『過去に大きな病気をしたことがありますか?』誰かわかるか?」
「………」
結局、さんまさんが問診表に記入したのは受診日だけであった。そうこうしていると、レントゲンを撮り、診察を終えたYOUさんが出てきた。診察の結果は骨折。さんまさんは信じられないといった表情で、「えーっ、ホンマ? あんなんで骨折するなんて骨弱いなー。ミカン食わへんからや」と呟いた。私は思った。ミカンは万能薬ではない、と。明石家テニス同好会はたった1日で解散となった。
経済的観点からではなく、医学的観点からのアドバイスを
この事件のおよそ15年後、さんまさんは体調がイマイチの時、相変わらずの方法で対処してらっしゃるのか気になり、聞いてみた。
「さんまさん、今でもミカン食べて太陽に向かって走ってらっしゃるんですか?」
「俺は前々からメロン食うてんねん」
「はぁ? 俺たちには散々ミカン食えっておっしゃってたじゃないですかー?」
「お前らメロンやと経済的にキツいやろ? せやからミカン食えって言うたんや、ヒャーッ」とこっちが引いているにもかかわらず、それを超えるお得意の引き笑いを、どうだとばかりにお披露目された。どうせなら経済的観点からのアドバイスでなく、医学的観点からのアドバイスがいただきたかった。
今回、この文章を書くにあたって、ミカンを食べて太陽に向かって走るのは、医学的観点から正しいのか、本当にライオンはそうやって風邪を治すのか、疑問に思い「ライオン 風邪 果物 太陽」などのワードで検索してみたが、出てくるのはライオン株式会社の風邪薬情報ばかりである。ちなみに風邪の治し方、私のオススメは、エスエス製薬の「エスタックEXネオ」である。
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