なんとなく、『耳をすませば』が気になった。大型連休中にテレビで放送される予定になっていたのに他の作品に変わっていたなどとSNS上で話題になっていたとか、秋に実写映画が公開されるとか、そういうこともある。が、まあ実際のところは本当になんとなく思い出しただけのことだ。個人的にはジブリ映画の中で『紅の豚』『魔女の宅急便』と並んで好きな作品だから、定期的に見たくなる。
おじさんの“耳すま”トークはもはやどうでもよくて、そんなわけで聖蹟桜ヶ丘駅に行ってきたのである。
「聖蹟桜ヶ丘」には何がある?
聖蹟桜ヶ丘駅は、ご存知の通り“耳すま”の舞台になったいわば聖地のひとつだ。改めていうまでもないが、聖蹟桜ヶ丘駅の駅前や周辺の風景が映画の中に嫌というほど登場する。だから今も聖地巡礼を決め込む人が少なくないそうだ。確かに、あんな映画を見せられて、その作中に出てくるのとそっくりな光景の中を歩けるとなったら行きたくなる気持ちもよくわかる。
ただ、その前にちょっと待ってほしい。
聖蹟桜ヶ丘って、なんともへんてこりんな駅名ではなかろうか。“耳すま”の影響もあって閑静で緑豊かでどことなく洒落ている町なのだろうとのイメージはある。そしてそのイメージと聖蹟桜ヶ丘駅という駅名がまた絶妙にマッチしている。だから当たり前に受け取ってしまっているが、よくよく考えると変わった駅名だ。もっと言えば、“キラキラ駅名”の一種なのではないかとすら思う。
そこでそのナゾを解き明かそうと、勢い込んで京王線に乗った。聖蹟桜ヶ丘駅は、京王線で新宿駅から約30分。特急で笹塚、明大前、千歳烏山、調布、府中、分倍河原と来て勇躍多摩川を渡ると聖蹟桜ヶ丘駅に着く。
駅前から漂う京王電鉄の“お膝元”感…「京王線の特別なターミナル」
多摩川の川端の低地にある高架駅で、駅そのものやその周囲を「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」と名付けられた商業ビルが建ち並ぶ。新宿のそれが駅弁フェアで名を成す京王百貨店、京王ストアに京王アートマン。