学校は準奈さんが亡くなったあとに全校生徒にアンケートや面談を行ったが、「イジメについて明確な証拠は出てこなかった」と遺族に報告した。しかし、準奈さんの両親は我が子が亡くなる直前までどんな悩みを抱えていたのか、保護者仲間の協力を得ながら自分たちの足で多くの人に話を聞いて回った。
そして新たに出てきた証言の中に注目すべきものがあったという。準奈さんが亡くなった2月12日は、クラスの席替えが予定されていたのだ。
自殺の当日、クラスの席替えが予定されていた
「せっちゃんは学級委員としてクラスをまとめていくことにも深刻になっていたようで、亡くなった後に見つけた娘の生活設計(担任との交換)ノートの1月18日付の部分には、〈男子キライ。女子こわい。ぴえん。〉と書かれていました。それに対しての担任のコメントはたった一言〈あらー! それは大変〉でした。その1カ月後くらいに席替えの方法を話し合う時間があったそうです。
その時に学級委員だったせっちゃんに対して、クラスメイトから『嫌いな人と一緒(隣)になったらどうするんですか』という発言があったようで、娘が困っていたそうです。その時はお友達が助けてくれて、その場は収まったそうですが、その話し合いから1週間後、席替えの予定日だった2月12日の朝にせっちゃんは学校で亡くなりました。当然、その席替えに関することも担任の先生からは聞かされていませんでした」(母親)
そして9月14日、学校から報告される情報がほとんどないことに不信を感じた夫婦は、学校がまとめて報告していた内容を教育委員会に確認しに向かうと、そこには信じられない内容が記述されていた。
「あてはまらない」に改ざんされたいじめアンケート
「昨年6月に学校側が『いじめに関する保護者アンケート』を行った時には、まだせっちゃんから何も話を聞いていなかったので、イジメを受けているかどうかについては『あてはまらない』に〇印をしました。ただ、次に同様のアンケートが行われた11月には、せっちゃんがクセ毛をからかわれたり、合唱祭の時などにクラスメイトから悪口を言われていたことを本人から聞いていたので、イジメに関しても『あてはまる』に〇をしたんです。せっちゃんは『内容まで書かなくていいよ』と大事にしたくないようでしたので、詳しくは書きませんでした。
しかし、学校が教育委員会に上げた報告書では、私たちが提出した11月のイジメに関するアンケートとして、『あてはまらない』の項目に〇印がされて提出されていたのです。私たちは持参した11月の資料のコピーを取り出して何度も確認もしましたが、確かにイジメについての項目では『あてはまる』に印をつけていました。その時に初めてアンケートが改ざんされていたことに気づいたんです。せっちゃんが亡くなってから、退任する3月まで、前校長は毎晩のように自宅に来てくれましたが、アンケートのことや、刑事さんから伝えられた下駄箱の手紙などのイジメに関することは一度も話してくれませんでした。なぜ、イジメを訴えた娘のアンケートが改ざんされたのでしょうか……?