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「『従順になるように』と劇薬を処方されました」被害女性A子さん(20代)が告発する《歌舞伎町精神科医》による“薬漬け洗脳”の手口

「『従順になるように』と劇薬を処方されました」被害女性A子さん(20代)が告発する《歌舞伎町精神科医》による“薬漬け洗脳”の手口

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 最初は、小さな躓きがきっかけだった。それは、看護学校を卒業して准看護師として病院に勤め始めた頃に訪れた。

生活リズムを整えるために『東京クリニック』へ

「都内の病院に勤めたのですが、そこでセクハラにあったんです。2年間務めた後にその病院を辞め、西新宿に引っ越しました。しばらくニートをしていたら昼夜が逆転してしまって。これじゃ社会復帰できないと思い、生活リズムを整えるために軽めの睡眠薬が欲しいなとメンタルクリニックに行きました」

 これが2021年2月。A子さんが診察を受けたのは、伊沢容疑者が経営する『東京クリニック』だった。

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東京クリニックが入っている歌舞伎町のビル ©文藝春秋

「検索したら自宅の近くにあったので、何の気なしに診察を受けました。看護師として働いていましたから、薬の知識があったので『寝れないのでデパスをください』とお願いしました。すると大した診察もなくデパスとフルニトラゼパムを2週間分処方してくれて、その後は月に2回ほど通うようになったんです。伊沢先生の最初の印象はクールで無口、というくらいしかありませんでした」

 目当ての薬を手に入れたかったA子さんにとって、自宅から近い『東京クリニック』は通い勝手がよかった。

「3月頃、性感染症になったときにも、薬をもらいに行きました。診察時間が終わる19時ギリギリだったと思います。伊沢先生に抗生物質が欲しいと言ったら、『(女性器を)見せて』と言ってきたんです。その時は『いやいやいや、無理です無理です』って言って断って、薬の処方だけしてもらいました。精神科医だけど最低限確認しようとしたのか、その時から下心があったのかはわかりませんが……」

 面食らったA子さんだったが、医療従事者同士、伊沢容疑者とは話が合うところも多かった。A子さんは自分が看護師であることも明かし、診察のたびに会話をする時間が増え、2人の距離は徐々に縮まっていった。

最初は同業者の“ありふれた恋愛”だった

「4月に入ってすぐに、また19時ギリギリにクリニックに行ったんです。そこで伊沢先生から『食事に行かない?』と誘われました。当時は新型コロナの感染が深刻だったので、『いいけど、あんまり外食したくないので家でゆっくりUberでもしませんか』と私から言って、伊沢先生の家に行くことになりました。

 告発をするA子さん

 お寿司を頼んで、ワインを飲みました。伊沢先生の話は薬の知識が豊富で面白くて、特にダイエット薬や美容の薬について聞くのがとても楽しかった。そしてこの日、初めて体の関係を持って、その後はLINEもするようになりました。この頃には面白くていい人だなと、好きになっていました」

 その後は週2、3回のペースで伊沢容疑者の自宅に泊まる生活が始まった。伊沢容疑者の自宅は新宿にあるタワーマンションだ。エントランスは高級感があり、3LDKの部屋は広々としていた。

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