1996年のクリスマスの翌朝、コロラド州ボールダーに住む6歳の少女が遺体で発見された。白人富裕層のファミリーの子供で、美少女コンテストで何度も優勝していた少女の名前はジョンベネ・ラムジー。その死から25年。
この間、捜査線上には、ジョンベネの両親や3歳年上の兄を含め数多くの被疑者があげられ、ボールダー警察は1500以上の証拠を調査してきた。しかし、いまだ犯人は捕まっていない。アメリカでは重大な未解決事件の一つとして今も注目されている「ジョンベネ殺害事件」とは何だったのか?(全2回の2回目。前編を読む)
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自分が殺したと告白する者が現れる
家族の潔白により有力になってきたのは外部からの侵入者による犯行説だ。その場合、犯人は前述のジョンのクリスマスボーナスの額やラムジー家の構造など内部事情に精通した者であるとされている。また、犯人は地下室の壊れた窓ガラスから侵入した可能性があるという。
ラムジー夫妻は著書『ザ・デス・オブ・イノセンス(潔白の死)』の中で、考えられる被疑者をあげている。お金に困っていたラムジー家の元メイドや、ジョンの会社の元社員、事件の1週間前にラムジー家で行われたクリスマスパーティーでサンタクロースに扮した人物などだ。ボールダー警察は彼らを調査したが、容疑者ではないと判断した。
自分が殺したと告白する者も現れた。2019年には、小児性愛者として地元で悪名が高く、当時、児童ポルノ所持罪で懲役10年の刑を受けて服役中だったゲイリー・オリヴァが、獄中からハイスクールのクラスメートに送った手紙の中で「ジョンベネを愛するように誰かを愛したことはなかった。しかし、彼女をうっかりと放してしまったために、頭が真っ二つに割れてしまった。僕は彼女が死ぬのを見た。あれは事故だったんだ」と誤ってジョンベネを殺したと告白していたことが報じられた。しかし、DNA鑑定の結果、シロと断定された。
2006年、児童ポルノ所持による逮捕から逃れるためにタイに逃亡していた元教師のジョン・カーもジョンベネを殺害したと告白した。カーはアメリカに送還されたが、結局、DNAはカーのものとは一致せず、また、証言に信憑性がなかったことから、容疑は外された。