彼氏の存在を話すと、態度が急変
そんな折、決定的な出来事が起きる。上村さんの彼氏が新型コロナウイルスに罹患し、彼女自身も濃厚接触者となったのだ。
「彼が陽性疑いの時点で猪瀬さんに連絡したときは『無理しないで療養してください』と言われました。でも、翌日に彼氏に陽性反応が出た旨を詳しく伝えると『今のコロナは熱が出ないこともあるから、問題なさそうなら出社してください』と、態度を急変させたんです。多分、“彼氏”というワードが出たのが気に食わなかったんだと思います」
以前から猪瀬氏は、上村さんが彼氏の話をすると不機嫌になり、情緒が不安定になっていたという。まるでワガママな子どものようで不気味だった、と上村さんは振り返る。
「私自身のPCR検査の結果は陰性だったので、結局出社しました。でも、さすがに公私混同が激しすぎるし、濃厚接触者を出社させようとする先方の対応は看過できず、契約期間を早めてもらったんです。担当者には理由を伝えましたが、会社側が猪瀬さん本人に伝えているとは思えません」
誘われた飲み会でも割り勘で支払いをしていたし、猪瀬氏にボディタッチをした記憶もなく、周囲のスタッフと同じように接していたはずだ、と上村さん。
「強いていうなら、マジメに仕事をしてガッツがあったから好かれてしまったんですかね……」と、肩を落とした。
あれから1年が経ち、当時のことを冷静に話せるようになったというが「なかったことにはできない」とも語る。
近年では、さまざまな業界で起きている性加害の被害報告が注目を集めているが、決して遠い世界の話ではなく、今まさに隣のデスクでも起きているのかもしれない。
