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突然足の甲をもまれて…

 そして、何よりイヤだったのは「毎日のファッションチェックだった」と上村さんは語る。ほかの女性スタッフには何もいわないのに、彼女の服装や髪型にばかり言及してくるというのだ。

「『そのコート新しく買ったの?』とか『今回は髪色が落ちるの早かったね』とか、いちいち言ってくるんです。いわゆる『女性の変化に気づくべし』みたいな、古臭い恋愛テクニックを本気で実践してる感じ。

 あるときは、私のブーツの素材が気になったらしくて『変わった素材だね。触っていい?』と言って、返事をする暇も与えず私の足の甲を揉みはじめたんです……。あっけにとられていると、無言でその場を去っていきました」

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 上村さんは、あきらかにほかの社員とは異なる接し方をされて困惑したという。しかも、彼は既婚者であり小学生の子を持つ父親だ。

「初めの頃は、子どもや奥さんの話をよくしていたのに、私に対する態度が変わってからは、一切家庭の話をしなくなりました。明確に言葉で好意を伝えられたわけではありませんが、相手から発せられる雰囲気で伝わってくる感じ……。アプローチも下手だし、個人的な見解ですが、恋愛経験はあまりなさそうな印象でした」

 そもそも上村さんには、結婚を考えている恋人がいる。しかし、彼氏には会社での悩みを打ち明けられなかったという。

「彼を心配させたくなかったのと、事を荒立てたくありませんでした。でも、今振り返ると『自分さえ我慢すればいい話だ』と、無理やり思考停止させていたようにも思います。

 私はフリーランスで、何か問題があれば切られるのは自分。仕事を失いたくない一心で毎日働いていました。先方は自分の権力を利用したつもりはないでしょうが、私の立場からすると“権力の権化”のような存在です」

 彼女はなんとか仕事を乗り切ろうと踏ん張っていたが、オフィスに行こうとすると腹痛に悩まされ、生活に支障をきたすように。